2018.07.09
【日替わりレビュー:月曜日】『ノヴァリス―きみは僕のキメラ―』夏河シオリ
『ノヴァリス―きみは僕のキメラ―』
人間と動物の遺伝子を掛け合わせたキメラペット「ノヴァリス」。もう夢のようというか、猫耳・うさ耳・しっぽつきのヒト型ペットです。
完全に人語を理解した相互コミュニケーションが可能で、絶対的に自分に服従する、人権を制限されたペット。
現代社会でこんなもん作りだしたら、あらゆる方面からボコボコにされてしまうこと間違いなしの危険なやつです。二次元でしか許されない背徳的娯楽です。ちょっと二次元の住人になりたくなりますね……。
人間に逆らわないように遺伝子レベルで刷りこまれたヒト型ペットなので、もちろん世間的には人間と対等の立場ではありません。
扱いはそのまま犬猫で、それよりはちょびっと規制が厳しいかな? くらいのイメージです。そんな彼らと人間との恋を連作で描いたBL短編集になります。
小難しい話はまとめて棚に放り上げてしまえば、とにかく可愛いんです「ノヴァリス」。
飼育放棄+虐待されてボロボロの「ノヴァリス」を保護して最終的には元飼い主から引き取ったり、ペットショップで売れ残って処分されそうなマイナー「ノヴァリス」をその場の勢いでうっかりお迎えしてみたら、ある日突然成人レベルに成長して飼い主に発情しそうとか、違法に作られて逃げ出してきた吸血本能のある「ノヴァリス」を保護して一緒に暮らすようになるとか!!
ちょっぴりシリアスですが基本、楽しく萌えられるお話ばかりです。
どのお話の人間側も、基本的に「ノヴァリス」をペットとして扱うというよりは、同じ人に耳としっぽが生えた存在くらいの扱いをしております。立場が人間より下というのが大前提なので、庇護欲をくすぐられまくっています。
異種間恋愛にカテゴライズできそうですが、ギシギシシーンはありません。MAXがキスシーンというほのぼの系です。
この本は短編なのですが、もっと掘り下げてシリーズ化してもいいのではないでしょうか!? というくらい美味しい材料がてんこ盛りの1冊となっております。
モフモフ好き・異種間恋愛好きさんにはとってもお勧めな作品だと思います!
©夏河シオリ/海王社