2018.07.10
【日替わりレビュー:火曜日】『南国トムソーヤ』うめ
『南国トムソーヤ』
都会から沖縄の離島に引っ越してきた主人公・狩野千晴が、島の同級生・リンドウやナミと交流を深めていく。台風の日に出かけてたり、ケンカしたり、一緒にアイス食べたり。
『スタンド・バイ・ミー』のような、少年時代の煌めいたかけがえのないひととき。島に眠っている翼竜の化石を探し出す少年たち。前世の記憶を垣間見るトランス状態のナミ。
沖縄離島の文化や風習、食などディティールを積み上げていく島での物珍しくも楽しい生活。地に足の着いた日常描写に、超常現象や伝承、遺跡といった考古学や民俗学にちなんだファンタジー要素がバランスよく組み込まれていて、一気に物語に没入できるんです。
うめ先生の作品全体に言えることなんですが、コマ割りやカメラワーク、動線を多用しない作画が、映画を観ている感じにも近いんです。マンガを読み慣れていなくても理解しやすい演出や構図から、うめ作品が幅広い層から支持されている理由が見えてきます。
全3巻。夏を感じるにはピッタリの冒険譚になっていますよ。