コミスペ!

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2018.07.13

【日替わりレビュー:金曜日】『婚姻届に判を捺しただけですが』有生青春

『婚姻届に判を捺しただけですが』

コミスペ!では、一応「青春・恋愛」というジャンルを担当しているので、意識的に高校生の恋愛ものを取り上げているんですけれども、書いている人(私)は子持ちアラサーなので、今回ご紹介するようなフィーヤン(FEEL YOUNG)みたいな作品や、それこそプチコミ掲載作とかが、マンガでいうと主食という感じになりつつあります。

もちろん10代のキラキラの恋愛も好きなんですけれども、社会に出て汚れて疲れてしまうと、結婚だの仕事だの浮気だの将来の不安だのにまみれた、しがらみだらけの恋愛や人生に旨味を感じられるようになるものなんですね。それこそ学生の時なんかは、「プチコミとか誰が読んでるんだろ…」ぐらいに思っていたのですが、10年前の自分に言ってやりたい「お前将来めちゃめちゃ読むことになるからな」と。

いつのまにか、牛丼は並盛りがちょうど良くなって、水は常温がありがたくなって(冷たいとお腹壊す)、肉よりも魚が好きになってきているし、色々な場面で加齢を感じるわけですが、マンガ読みからしたら、こういうところで一番加齢を感じる今日この頃です。40年後とか、気づいたら『黄昏流星群』しか読めない体になってたりするのかもしれませんね……。

さて、フィーヤン系の作品紹介するぞってだけで、こんな長い前置きを書いてしまってすみません。『婚姻届に判を捺しただけですが』のご紹介です。恋愛・青春という括りにおいて、”恋愛”はしっかりキープしているから問題なし。青春要素ないやんけってツッコミが編集部から入るかもしれませんが、大丈夫。作者さんの名前にちゃんと入ってるのでOKです。

物語の主人公は大加戸明葉・27歳。仕事がめちゃめちゃ楽しくて、飲んだくれる友達もいて、こんな現状に満足。唯一、彼氏がいないけれど、周りがゴールインしていくのも気にならず、結婚願望は特に無し。そんな日々の中、まさかまさか、初対面の男からプロポーズをされることに! お相手は、仕事は出来てイケメンだけれど、とある理由から”既婚者”の肩書きを手に入れるために偽装結婚をしたいと宣う、サイコ野郎・百瀬

あんまりな言い方に頭突きをお見舞いした明葉でしたが、後日金銭トラブルに巻き込まれ、それを肩代わりしてもらうために、偽装結婚に乗ることに……。てな感じで生まれた、即席の偽装夫婦がおくるドタバタラブコメディ

突然結婚するというのは女性向けマンガでは結構ありがちな展開でさして珍しくもなく、またそのきっかけが金銭トラブルというのも、ある意味では王道と言えるでしょう。で、だいたいそういう作品って、ヒロインを救った代わりに気難しい感じのヒーローが色々と要求してきたりとかして、物語が転がっていきます。一方今回のお相手・百瀬が欲しいのは単に「既婚者」という肩書きだけであるため、なんにも要求とかしてきません。むしろ形式上一緒に暮らしはするものの、極力干渉してくるなというスタイル

明葉からすれば楽なように見えるのですが、仲良くもない人と一緒に暮らすというのはそれなりにストレスが溜まるもの。ましてや百瀬は几帳面な雰囲気で、大雑把でうるさい性格の明葉にとっては、水と油のような相手です。ついでに既婚者であると、いざ本当の恋愛をしようとしても、なかなか身動きが取りづらい。加えて親戚づきあいもあったりと、色々と煩わしさもあるわけです。

こうして「努めて離れよう」と考えているにも関わらず、色々なしがらみがそうさせてくれず、距離を縮めて接するしかなくなるというパターン。それがやがて互いを深く知るきっかけになったり、そこから恋愛感情へと発展したりするわけですが、1巻に関しては恋愛のれの字も無さそうな状況で、「え、これ我々が期待するラブに発展するんですか?」と不安になるぐらい、今時点ではさっぱり。

しかしながらとりあえずテンポは良いし、巻き起こるトラブルも面白いので、直接的な恋愛感情が生まれずとも楽しめる内容となっております。さらに、ここにラブが乗ってきたら、かなり面白そうな予感。

こんな結婚生活が羨ましいとは1ミリも思いませんが、外から楽しんでいる分には最高に面白いマリッジコメディ。既婚者の方もそうでない方も、皆さんぜひともお楽しみください。

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この記事を書いた人

いづき

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