2018.07.17
【日替わりレビュー:火曜日】『邪神ちゃんドロップキック』ユキヲ
『邪神ちゃんドロップキック』
上半身は女の子。けれども下半身がヘビの姿をした魔界の悪魔、通称「邪神ちゃん」は、ある日突然、人間界に召喚されてしまう。
召喚したのは、ちょっとブラックなゴスロリ女子大生・花園ゆりね。
邪神ちゃんが魔界に帰るためには、行方不明になっている魔導書か、召喚者の死亡が条件。
かくして邪神ちゃんは、隙きあらばゆりねに襲いかかっては、返り討ちに遭う日常を送るのだった。
強いものには逆らわず、弱そうな相手には強く出る。説明セリフの最中にドロップキックでぶっ飛ばして、「卑怯? はっはっはっ 褒め言葉ですの」と開き直るこの性格。
邪神ちゃんは本当にズルくて卑怯で、性格に難がありまくり。でもなぜか憎めないんです。ひみつ道具で調子に乗ったのび太が「もう懲り懲りだよ~」って嘆く『ドラえもん』的な因果応報に遭うからかな?
でもたまに、こいつ本気でどうしようもねえヤツだなって呆れる時があって、『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』の初期のもこっちに通じるところがあります。
クズっぷりがおかしくて、イラッとさせる一歩手前のさじ加減。そのバランスが絶妙に上手いからこそ、成立しているんでしょう。
邪神ちゃんの報いの受け方がまた強烈で。氷漬けで真っ二つにされたり、モザイクのかかった肉塊になったり、上半身と下半身が真っ二つに引き裂かれたり。でもアロンアルファでくっつきますからね。
その適当にゆるい感じも、肩の力を抜いて楽しめるマンガになってます。
脇役も個性派が揃ってます。メデューサは気弱な優等生の美少女で、人間を石化させないように紙袋をかぶっています。ミノタウロスのミノスは、グラマーな爆乳娘。神話のモンスターを独自解釈して、オリジナリティ溢れるデザインとキャラ付けで物語に花を咲かせているのが実に楽しい。
8巻ではメデューサのチョコをあげる相手に邪神ちゃんが嫉妬したり、たまに百合要素が入っていてニヤニヤしちゃいます。天使のぽぽろんと悪魔のペルセポネ2世の友情など、心温まるエピソードを適度に挟んでいる点も○。不良が捨て猫を拾って胸キュン効果で、高感度も爆上がりです。
©ユキヲ/ほるぷ出版