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2018.08.01

【日替わりレビュー:水曜日】『異世界デスゲームに転送されてつらい』水あさと

『異世界デスゲームに転送されてつらい』

デスゲーム作るお仕事だって大変なんです

今マンガ界隈では一大ジャンルになっている、デスゲームもの。理不尽な中、生命をかけて人間同士が戦うドキドキハラハラが面白い。
しかしゲームにするためのルール制作や下準備って、そんなに簡単じゃないのでは?

サラリーマンの氷見は、激務に追われる毎日を送っている。
間違って彼を異世界に引き込んでしまった、死神のメイ。彼女は死を望む者を集め、シニガミゲームを始めようとした。「残った一人だけもとの世界に戻してやろう」というお約束のもの。

緊迫する空気の中、氷見は挙手する。

「ルールはない なんでもアリのはずなのに なんで口ごたえしたらダメなんですか?」
「死亡の診断は誰がするんですか」
「ほかの一人が息を吹き返したらどうするんですか?」
「ちゃんとルールをしっかりしてくれないと困るんですよ…」

完全に論破され、メイは泣きながら土下座する。仮面の下は、泣きべその少女だった。

デスゲームは大抵凝った仕組みが用意されているもの。じゃあ誰がそれを準備するのか? このマンガでは、モンスターもトラップも、異世界そのものも全部レンタル
メイは死神の務める「(株)総合魂保障」の新米社員。業績に非常に厳しい会社の中では、魂回収0で成績最下位のメイは肩身が狭い。教育係の上司のクロは、いつも自分のために頭を下げてくれる。つらい。

デスゲームの企画書を提出し、シミュレーションと参加者選抜を施行、演技指導を受けて死神らしさを身に着け、デスゲーム運営者のクレームに頭をさげる。予算には十分気をつけて。

『デンキ街の本屋さん』を描いてきた作者ならではの、コミカルだけど共感してしまうお仕事作品だ。
中でもクロの苦労の様子には、人間の会社員・氷見もついつい同情してしまう。働くということは、どこでだって大変なのだ。

死神として頑張るメイは、多少天然なところはあるが、別にできない子ではない。運悪く、勘の鋭い氷見に出会ってしまっただけ。

メイも氷見も「会社で働いている」ことに変わりはない。氷見に出会ったことでメイが成長していく様子は、展開的にはむちゃくちゃなのに、泣ける。これが作者・水あさと先生の持ち味だ。

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