2018.08.03

【日替わりレビュー:金曜日】『いけないこと、しよ?』碧井ハル

『いけないこと、しよ?』

 “男子とやりたいアレコレ”と聞いて、あなたは何を思い浮かべるでしょうか?

私は男子なので「男子とやりたい」と言われても、これといって何も思い浮かばないんですけれども。

先日1巻が発売されたばかりの碧井ハル先生の『いけないこと、しよ?』は、ヒロインが思い描く「こんなことしたい」という妄想や欲望を、年下の小悪魔系男子がひとつひとつ叶えていってくれるという、萌シチュラブストーリーです。

主人公の十羽子は、品行方正で先生や生徒からの信頼も厚い生徒会長。そんな彼女は、もっぱら男子嫌いとして有名。実際彼女と仲良く話せる男子は皆無で、十羽子自身も男子嫌いであることを明言しています。しかしその正体は、男子とあんなことしたい…こんなことしたい…と妄想しては、それを秘密のノートに綴るという、ちょっと変態チックな趣味を持つ女の子。
 
ある日、あろうことかそのノートを後輩男子の結に見られてしまうことから、物語は動き出します。それをネタに結に脅されるか、はたまた馬鹿にされるかとビクビクしていたところ、彼が提案してきたのは、思いもしないものでした……

「ここに書いてあること 俺とやってみない?」

妄想を記してそれを実践していくというのは、たとえば『恋わずらいのエリー』『わたしに××しなさい』など、数多の先駆者たちがいるわけですが、本作が一線を画しているのは、その妄想のレベル感

なぜか十羽子はヘッタクソな絵付きで願望を描いてるのですが、それらがどう見ても18禁のソレ。また、いちゃついているカップルを目にすると妄想が捗るみたいなんですが、その時の様子が顔赤らめて体がゾクゾクビクビクしていて、どう見ても感じているというか、なんなら絶頂してるっていう。

で、そんな女子に、イタズラな後輩男子が「俺とやってみない?」と半ば強引にそういう方向にもっていくわけですから、これやっていることはエロマンガの導入と同じっていう。正直「これ大丈夫なの?」と不安になるぐらいでしたが、作中ではきちんと軌道修正。

なんやかんやそれらを実践していく運びになるものの、実際に行動にうつす項目はきわめてプラトニックなもので、ドキドキはそのままに、少女マンガとしての輪郭はしっかりと残しています。

後輩のがとにかく小悪魔的でグイグイ来るので、関係も曖昧なままにそういう恋人っぽいことしちゃっても、特に気にならないというか、関係が成り立っちゃうんですよね。主人公の十羽子も振り回されることにいっぱいいっぱいで、立ち止まって関係を省みることもないので、この辺はおいおい悩んでいくことになるんじゃないでしょうか。

男の子が顔を赤らめて恥ずかしがる……みたいな奥ゆかしさはありませんが、その分有り余るほどの小悪魔っぷりを発揮しておりますので、そういうキャラクターがお好きな方に是非ともオススメしたい一作です。

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いづき

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