2018.09.08
【日替わりレビュー:土曜日】『回転むてん丸 シリーズ』マンガごっちゃ編集部
『回転むてん丸 シリーズ』
『回転むてん丸 はじまりの海』
『回転むてん丸 ひかりの旅路』
もともと江戸時代には早い・安い・そこそこ美味しいのファーストフード的存在だったお寿司。
長い年月を経て20世紀のしばらくまでは高級志向のごちそうへと変化していたが、とある形式のお寿司屋さんが考案されたことで再び低コストな庶民食としての寿司が再来し、人々の口に入りやすくなった。
そう、回転寿司のことだ。
今回ご紹介するのは、その回転寿司店でもとくに大人気のチェーン「無添くら寿司」のマスコットキャラクターを主役としたWebマンガ『回転むてん丸』シリーズである。
むてん丸といえば、五皿ごとに一回抽選を引ける「ビッくらポン!」の景品としてご存知の方も多いことだろう。
2007年に初登場して以来、その知名度とシリーズキャラクターの豊富さによってトレーディングカードゲーム、ぬいぐいるみ、LINEスタンプなど様々な商品化の元として活用され続けており、そのなかにWebマンガの展開もあるというわけだ。
長編マンガ版の全八章がマイクロマガジン社のマンガ投稿サイト「マンガごっちゃ」の無料配信タイトルとして公開されているほか、回転むてん丸シリーズ専用の公式ページにもWebマンガのコーナーが設けられ、章タイトルより前の「修行編」その他を含めて読むことができる。
また、第一章「はじまりの海」と第二章「ひかりの旅路」は各々上下巻で単行本化されているので、描き下ろしのおまけまで漏れなく目を通したいならそちらから入るのがいいだろう。
全体的な設定としては、びっくら村というのどかな里に暮らしていた主人公・むてん丸が、平和をおびやかす悪の手から村の平和と“おばあちゃんのまごころの味”を守るため、父から継いだ刀をたずさえて戦うファンタジー活劇となっている。
幼馴染ヒロインのくららちゃんや、蔵に手足が生えたゆるキャラ・くら吉といった三頭身前後のキュートな登場人物たちがわいわいにぎやかで楽しい冒険を……と思いきや、人間を凶悪な魔物に変えてしまう物質をばらまく怪人紳士シック・ヴァラクロロフェノルを相手に死闘をくりひろげるハードな展開が物語を盛り上げまくり、もはやお寿司やグッズの販促になってるのかどうか分らなくなる攻めっぷりが見どころである。
なんだろう、このアツい感覚はどこかで……!
と思ったらアレですよね、児童マンガ誌で無茶苦茶に過激化するホビー系マンガ。
ビー玉飛ばしで指の骨を折りながら必殺技を放つとかああいう……(なお、アラフォーのおっさんとしてはコロコロで『エスパークス』のマンガを読んで手に汗にぎってた思い出が脳裏をよぎりました)。
というわけで、可愛らしさと壮大なスペクタクルのあわせ技がおりなす「回転むてん丸」ワールド。ぜひ一度ふれてみていただきたい。
©マンガごっちゃ編集部/マイクロマガジン社