2018.09.18

【まとめ】あの頃に戻りてぇよぉ……。素敵なキャンパスライフマンガ

日本で生まれ日本で育ったなら、ほとんど誰しもが経験する学生時代。皆さん、色んな事を経験したかと思います。今学生の人は、その経験の真っ最中でしょう。

そんな学生時代ですが、中でも様々な初体験な出来事が起こる特殊な学校が大学だと思うのです。義務教育じゃないので行ってない方も大勢いる上に、18~22歳という年齢的に成人となる時期に通う方が殆どという、精気に満ちた不思議な学校、大学。

今回は、その大学(時代)を舞台に描かれているマンガを紹介したいと思います。とは言いましたが、主人公が大学生なだけで、全然大学が出てこないマンガも含まれています……が、そこは一つ多めに見て頂けると嬉しいです。それではどうぞー。

『もやしもん』

農業大学を舞台に菌を肉眼で見ることが出来る主人公が大活躍?

菌が見える特殊能力を持つ、沢木惣右衛門直保。東京の某農大に入学した彼は、仲間達と農大ならではの経験を積んでいく。沢木の視点を通して、コミカルなキャラクターとして描かれた菌達が活躍したりしなかったりする、農大モラトリアムストーリー

アニメ化のみならず、実写ドラマ化もした人気作『もやしもん』です。

あらすじの通り、農大を舞台に繰り広げられるキャンパスライフストーリーなのですが、何と言っても本作の特徴はデフォルメ姿に擬人化(?)された菌達です。本作を契機に「かもすぞ」という言葉が流行ったりしましたね。

ちなみに、「かもす」は菌達がことあるごとに口にする言葉で、「発酵させるぞ」「繁殖するぞ」等様々な意味でつかわれる味わい深い言葉です。

普通のキャンパスライフモノとは少し違った変わり種な本作ですが、読んでいると「ここまで変わったことが楽しめるなんて農大とはなんて素晴らしい所なんだろう」という気になってきます。作中で描かれる農大ならでは知識の深さも半端なく、読んでいるだけで菌や農学について詳しくなった気になれるのも楽しいポイントです。

ちょっと変わったキャンパスライフに憧れがある方や、しっかりとした読み物系マンガを楽しみたい方にお勧めです。石川先生の描く女性は、凄く色っぽくて可愛い。

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『ハチミツとクローバー』

美大を舞台に描かれる若者達の青春模様

畳+台所3畳フロなしというアパートで、貧乏ながら結構楽しい生活を送る美大生の森田真山竹本の3人。そんな彼らが花本はぐみとの出会いをきっかけに、真山を一途に思い続ける山田あゆみや、はぐみの保護者である花本修司も巻き込んで、それぞれの恋愛模様や未来への苦悩を繰り広げる青春群像劇。

現在『3月のライオン』を連載中の羽海野チカ先生の説明不要の大名作ですが、キャンパスライフと言ったら紹介せざるを得ません。アニメ化・ドラマ化・実写映画化と一通りのメディア化を網羅しているので、マンガを好んで読む方なら読んだことがある方のほうが多いかもしれません。

「ハチクロ」はあらすじで説明した通り、特定の誰かの視点寄りでは無く、森田・真山・竹本・はぐみ・山田・花本それぞれの視点から描かれる群像劇という性質上、人によって物語の印象が違うと思います。

あふれんばかりの才能があるゆえに苦難に直面するはぐみの物語や、それを見守る花本の物語。モラトリアムとはぐみへの恋に苦しむ竹本の物語など本当に見所が多いのですが、僕は山田が真山への一途な想いで苦しむ片想いストーリーの印象が非常に色濃いです。
というのは、僕が報われない片想い女子のストーリーが大好物だからなのでしょうが……そういう性癖を持つ僕ですので、最終巻の山田さんの結末には失恋めいたほろ苦い想いがあります。

実は10巻と少ない巻数で完結しているので、読んだこと無い方でも気軽に読み始めることが出来るかと思います。きっと思い入れを持つことが出来るキャラクターを発見できるはずです。

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『竹易てあし漫画全集 おひっこし』

無為に過ぎていく様で実はとても大切な気だるい日々(?)

大学生の遠野は、名前が線対称になっている素敵な先輩・赤木真由の事が好き。だが赤木は、恋人で青年海外協力隊でザンビアに赴いているが帰ってくるのをちゃんと待っているつもりらしく、付け入るスキは無さそう。苦悩しながらもあれやこれやとアプローチを頑張る遠野が、赤木や同級生の木戸小春川と過ごす、何かありそうで特に何もないモラトリアム大学生ストーリー

あらすじ、書いてはみましたがこれでいいのかな……? 『無限の住人』で知られる沙村広明先生の作品集『竹易てあし漫画全集 おひっこし』です。紛らわしいのですが、「竹易てあし」は沙村先生の別名義なので紛れもなく沙村先生の作品です。

沙村先生の作品らしく全体的に情報量が多めで、キャラクターもストーリーに関係ない雑学の様な知識をモノローグや会話で多く展開して、非常に人間臭いです。
物語は遠野の赤木さんへのアプローチを軸にしつつも、全然関係ないイタリア人バローネの日本人への復讐譚や、小春川と木戸の恋愛話などが多く盛り込まれており、他人の人生の一部を切り取って眺めているような雑然とした印象をまき散らしながら進んでいきます。

こうして文章にするとそれらがマイナスな要素に聞こえるかもしれませんが、全てが良い具合に作用していて、端的に言ってめちゃ面白いです。
「おひっこし」自体は単行本の半分程度で完結するので、いつでも気軽に読み進められるので本当におすすめです。終盤の小春川の恋の結末と、引っ越しして行く赤木に対して遠野がとった行動がなんとも青臭く、あぁ大学生に戻りてぇなってなること請け合いです。

ちなみに、単行本の後半には別のお話『少女漫画家無宿 涙のランチョン日記』という短編も収録されているのですが、こちらも必読です。

物語開始当初は少女マンガ家だった主人公が、すさまじく波乱万丈な人生を経て、関東屈指の麻雀の代打ちになったり、ヤクザになったりと、とにかくものすごいストーリー展開をします。明らかにコメディなのに、妙に切ない読後感を残す匠の技は、本当に沙村先生の腕のなせる技ですよ、ほんと。

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『夢のアトサキ』

何者でもない若者達が何者かになるためのストーリー

とある三流大学。東京の音大に通う優秀な彼女と遠距離恋愛中の乙部也寸志。彼は優秀な彼女を尻目に美大に落ちた事にプレッシャーを感じながらも、夢を追ってプロのイラストレーターをめざしている。そんな彼を取り巻く、同級生で過去はバスケに打ち込んでいた平嗣や、何事もそつなくこなしてしまうが女にだらしないプレイボーイの箕島など、ちょっとひとクセある彼らの青春物語。

『神様ドォルズ』のやまむらはじめ先生が描く青春オムニバスストーリー。『神様ドォルズ』は結構重い展開もありましたが、『夢のアトサキ』は若者の苦悩はありつつも大きな悲劇は無い、いたって普通の大学生のストーリーです。やまむら先生の『天にひびき』と少し似ているかもしれません。

やまむら先生は、キャラクターの表情で感情の機微を表現するのがとてもうまく、この作品でもそれはいかんなく発揮されています。優秀な彼女に負い目を感じる也寸志や、飄々としながらも漠然とした物足りなさに苛まれている箕島の生き方は、自分と全然違うのに不思議と共感させられるものがあります。

先に紹介したハチクロと似たようなシチュエーションではあるのですが、描き方が全然違うので合わせて楽しんでも全然問題ないですよ!

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冒頭でも似たようなこと言いましたが、大学時代って本当に不思議な時期だと思います。年齢的には大人と言えそうですが、中身はまだまだ全然子供だったりして。この時期にしか感じられない感情や苦悩は確かに存在して、キャンパスライフを描いたマンガはその感情を読者に見せてくれます。

何かにつまずいた時や悩んだ時、きっと若者の悩みを真剣に描いたキャンパスライフマンガ達は僕たちに道標を提示してくれるでしょう。マンガごときに何を言ってるんだって思う人もいるかもしれませんが、ほんとに。

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この記事を書いた人

春川 三咲

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