2018.09.18
【日替わりレビュー:火曜日】『プラネット・ウィズ』水上悟志
『プラネット・ウィズ』
アニメ放送中にこれだけは伝えたい──今期アニメ、「プラネット・ウィズ」がめちゃ良いね!!
水上悟志先生が描き下ろした1074ページのネームを元にしたオリジナルロボットアニメーション「プラネット・ウィズ」が現在放映されています。そのネームを元にしたマンガ版も「ヤングキングアワーズ」で連載中。
形式的にはオリジナルアニメながら、作業工程としては原作マンガをアニメ化した形になってるんですね。ややこしい。
さて中身はというと、アニメもマンガも水上悟志節全開の楽しさに満ちています。
過去の記憶を失いながらも、平穏に暮らしていた高校生・黒井宗矢。だがある日、謎の巨大兵器「ネビュラウェポン」に突如襲われる。猫のような姿をした「先生」とゴスロリ姿の銀子と共に、宗矢は戦いに巻き込まれることになったが──
人間サイズの猫の着ぐるみのような「先生」とゴスロリ姿の女の子・銀子と住んでいる、記憶喪失の宗矢君。巨大兵器が攻め込んでくるところから物語は始まります。銀子から「戦え」って言われて、兵器と戦うのかと思いきや、それを撃退している正義の味方が敵だという。
いきなり情報量が多すぎです。しかも巨大兵器のデザインが、クマっぽいんだけど腕のところに耳がついていて、胸に「平和」の文字。足のところに人間の手がたくさん生えています。何こいつ? なんで襲ってくるの? どうやって浮いてるの? 同居してる「先生」も怪しすぎるんですけど!?
情報と疑問の洪水に巻かれながら、それでも「何かとんでもないことが起こっている」感じがビンビンに伝わってきます。襲いかかる非日常のトンデモ体験にワクワクが止まらないといいますか。
理解できないと人は興味を失います。でも逆にのめり込んでしまう魅力に満ちているのは、「キャラの強さ」によるものかなと。フィギュアのスカートの中を覗く茶目っ気のある先生、一人称が「ボク」の銀子、敵も正義のヒーロー青年からロリっ子、中二病、爺さん、脇役のオカルト研究会の部長に至るまで、シルエットと言動で誰だかすぐに認識できる存在感の大きさがポイントです。
次々と異様な姿形の巨大生物や兵器が襲ってくる展開は、『ウルトラマン』シリーズなど特撮もののお約束。『新世紀エヴァンゲリオン』をはじめ、数々のアニメでも踏襲されてきたこのフォーマットを水上悟志先生がどう料理するのか、2巻以降も注目です。
©水上悟志/少年画報社