コミスペ!

SHARE

2018.10.28

【日替わりレビュー:日曜日】『夜人』岡部閏

『夜人』

『グッド・ナイト・ワールド』『世界鬼』で独自の世界観を提示してきた岡部閏先生が、新たに小学館の「マンガワン」「裏サンデー」で連載中のホラーミステリー『夜人』。「次にくるマンガ大賞2018」にもノミネートされていた作品です。

幼少の頃より「幽霊」が見えてしまう女子中学生の恩田衣子。最近の悩みは、自分の部屋に住み着いた地縛霊「ウノ子」で、特に何をされるわけでもないけど部屋の隅でうの、うの、と呟いていてウザい。でも自分では幽霊には触れることが出来ない(し幽霊からも触れられない)ので、追い出したくても為す術がなく出来ませんでした。

ある日お風呂後に洗面所で髪を乾かしていると、異様に視線を向けてくる「幽霊」が。余りにも見てくるため衣子が叱すると、この幽霊は衣子の胸に触れて逃げていきました。初めて幽霊に「触れられた」ことに驚く衣子。そんな中、次の日に学校に行くと後ろの席のクラスメイトの空木との会話の中で、その幽霊が空木だったことが発覚して…。

というのが1話の流れでして、最初のつかみとなるフックが各所に散りばめられており、一気に作品の世界に引き込でいく力は流石の一言です。

その後の物語では、空木は同級生の高条と共にふとしたキッカケで「幽体離脱」をしてしまい、出来心で衣子の家に覗きに行っていたことが判明するのですが、進むにつれ同様にこの「幽体離脱」をして互いを「夜人」と呼び合う、「元」人間達とも遭遇。また夜を重ねるごとに、恐ろしい「幽霊」や「魔」からも襲われるようになっていく…という流れで展開されていきます。

やはり特筆すべきは、そのホラー描写の恐ろしさです。幽霊の描き方がとにかく生理的に気持ち悪かったりぞっとしますし、夜人や人間さえもふとした表情にぶるっとさせられる瞬間が。また、過去作の時から光っていましたが、心情描写や物語の進行を極端なまでに緩急をつけていく岡部閏先生の表現スタイルによって、随所に散りばめられた恐怖がどんどん増長されていきます。

そして、登場人物の表情一片だけでは、それぞれの心の底や考えが見えづらいのもポイント。これにより読み進める中でミスリードにつられて予想外の展開に衝撃を受けたり、どこまでがギャグなのか本気なのか、絶妙なさじ加減のシュールさを楽しむことができます。

全体を通してテンポ良くさくさくとお話が進んでいきますし、徹頭徹尾恐ろしいホラーかと思いきやボーイミーツガールな青春冒険ものでもある本作。とても不思議な雰囲気を漂わせている唯一無二な物語を、まだ1巻がでたばかりの今のうちにぜひ手に取ってみてくださいね。

試し読みはコチラ!

この記事をシェア!