2018.11.12
【日替わりレビュー:月曜日】『カラスと白鷹』立野真琴
『カラスと白鷹』
架空の都市を舞台に繰り広げられるハードボイルドチックなBLとなっております。
軍に入隊した後、行方不明になってしまった弟を探して軍にもぐりこんだダン。もともと無法地帯の街を纏めている「カラス」と呼ばれる彼は、軍の内部を調べているうちに、真っ白な軍服をまとった「白鷹」と呼ばれるスパイに出会います。
めちゃくちゃ目立つスパイなんですが、表向きは死んだことになっている存在をスパイに仕立て上げて、軍の上層部が使っているという構図のようです。
弟の手掛かりを探しているうちにたどりついた手掛かりである「ノーム中将」に話を聞くべく部屋に押し入ったところ、すごいタイミングでその手掛かりは殺されていました。明らかにはめられております。
絶体絶命のところを白鷹に助けられて脱出を果たしますが、もちろんそのまま引きさがったりはしません。再び軍に戻ってしまいます。戻ってそのまま捕まります。アホかな? と率直に思ってしまいますが、それでも割と何とかなってしまうのが面白いところです。軍部は内部のセキュリティをもうちょっと見直した方が良いのでは…。
カップリングとしては、このカラスことダンと、白鷹と呼ばれる白い軍服のスパイになるのですが、まだそこまで話が進みません。
ダンの弟も姿を現しますが、なんと彼も軍の暗部に囚われて、助けられたのちに「白鷹」にされていました。兄に、街に帰ろうと言われますが、弟は白鷹として命の恩人に仕え続ける構えです。
ふたりの白鷹と、カラス。この3人それぞれの物語が、てんこ盛りの伏線とともに描かれる本作。明らかにシリーズになる雰囲気ですが、巻数表示がありません。
1巻目ではまだ全然BLになってないので、ぜひとも続刊を出して彼らの関係を先に勧めていただきたいと思います。そう……BLのメインである肌色シーンがまだないんですよ……。これでは困ります。
「無鉄砲な行動派×冷静沈着従順なスパイ」──黒×白を実装していただきたい所存です。
©立野真琴/日本文芸社