2018.11.29
【日替わりレビュー:木曜日】『1122』渡辺ペコ
『1122』
痛い!!!!!!
結婚7年目の仲良し夫婦はセックスレス。そんな妻の一子と夫の二也が選択したのは「婚外恋愛許可制(公認不倫)」。仲はいいけど、セックスはしたくない。だから、外でセックスをする。外での不倫行為については家にもちこまない。
一見、とても合理的に思える制度だが、そう簡単にうまくいくものではない。人間の気持ちはうつろいやすく、気分によっては昨日許せていたことが今日許せなくなる、なんてこともままあるのだ。
1〜3巻の間で、二人の関係性は少しずつ歪になっていく。不倫相手に夢中になり始める二也、それにもどかしさを抱える一子、二也の不倫相手・美月の抱える孤独、女性向け風俗店の登場、心も体もうまく満たしきれない大人たちの葛藤が描かれる。
最新刊の4巻は、それまで少しずつ広がっていた不穏な空気が、一気に爆発したような回だ。それまで自分は不倫をしていなかった一子の新たな一歩、勇気を出してケジメをつけにいく二也、それを決して許すことができない美月、すべてを知っていて優しくできない美月の夫・志朗。
もう、誰が悪いとか、そういう問題ではなくなっているのだ。みんながみんな寂しさを抱えていて、うまくできなくて、ときに過ちをおかしてしまう。その過ちを、これから自分でどう抱えて生きていくのか。4巻は、とにかく読んでいて胸がしめつけられる思いだった。
そして、とにかく痛かった。男の人は覚悟して読んだ方がいい。
©渡辺ペコ/講談社