2018.12.03
【日替わりレビュー:月曜日】『カンチガイラバー』木下けい子
『カンチガイラバー』
木下けい子先生の新作です。
木下先生は、学園ものを描かせたら右に出るBL作家さんはいないんじゃないのかというくらい、柔らかいタッチで私好みの高校生をピンポイントで攻めてくれる作家さんなのですが、今回はリーマンラブです。どっちも社会人。
そして、年上上司受の下剋上ラブとなっております。
しかしですね、この上司が可愛いんです。ゲイで、33歳にして片思いしか経験したことのない男・白鳥が、入社してきたイケメン新人に恋して、それを隠すあまり厳しく接してしまい、そのたびに落ち込むのです。
好きな子に意地悪しちゃう小学生男子か!!! という行動ですが、ギリギリ職務上の指導の範囲に収まっているのでたぶんセーフです。
一方の、怒られてもめげない新人・佐伯。イケメン紳士の彼は、人当たりよく誰にでも親切で優しいので周りからは「カンチガイ製造機」と言われています。罪な男です。
ワーキングラブなのに仕事の詳細は一切分からないという、徹底的にこの二人の関係性にフォーカスした内容となっておりますので、とても読みやすくストレートに萌ポイントが伝わってきます。
彼らの関係が一気に進展するのが、出張先のホテルの手違いでセミダブルの部屋を手配されてしまった時なのですから、もう最高にベタな展開です。読んでいてニヤニヤがとどまることを知りません。
床に寝るスペースもなく、狭いベッドにふたり並んで寝る羽目になるのですが、ここで白鳥が自分の性的志向を告白するのです。ここから話は一気に進みます。
妄想でしかなかった恋が一気に現実になってパニックの白鳥。上司を好きになってしまった気がするも、その上司の好みから自分が外れていると思ってしまう佐伯。このスーパーほのぼの両片思いが素晴らしすぎました……。とてもとても癒されます。
現実の恋って、甘くてフワフワして… まるで夢のようだ
というのが、33歳・仕事のできる上司の、恋した部下に対するコメントですからね……。ぜひぜひ、この可愛すぎる33歳をご堪能ください!
©木下けい子/新書館