2018.12.02
【日替わりレビュー:日曜日】『エスパーおじさん』松本勇祐
『エスパーおじさん』
Twitterに投稿された↓の4コママンガが話題となり、「Comic Walker」にて連載化した『エスパーおじさん』の単行本が先日11月26日に発売されました。
エスパーおじさん pic.twitter.com/XML6ZHzCfS
— 松本勇祐 (@matsumoto_p) 2018年4月28日
頭はつるっとハゲてて小太り、四角い大きなメガネをかけている、所謂典型的な「中年」の見た目のおじさん・藤田シゲル。そんなおじさんが人とは違うのは、透視やテレポーテーション、テレパシー、物体の空中移動といった、超能力を使うことができるエスパーだということ。
本作はこの「エスパーおじさん」の、特別だけどあくまで庶民的な人生や生活を穏やかに描いている、4コマコメディ作品です。
おじさんは生まれた時からその能力が使え、一時は特殊なエスパー少年として取材を受けたりちやほやされたこともあり、一歩間違えればスレたりしてしまいそうなものですが、親や友人といったまわりの心優しい人々とのふれ合いによって、のびのびと成長。大人になってからもエスパー能力はズルには使わず、ちょっと生活を便利にする「道具」くらいの感覚で活用しています。
食卓にお皿を並べるために空中移動の力を使ったり、ご飯ができたことを伝えるために2階にいる娘にテレパシーを使ったり。
冷静に考えたら世界を変えてしまえそうなくらい強力な力を持っているのにも関わらず、基本的には自分の周囲100mくらいの範囲に関係する程度にしか用いない、地味なおじさん。
なんだかもったいないようにも感じてしまいますが、大きな変化を求めないおじさんは、自分の平凡で平和な人生を心から愛しているように見え、読者の心をほっこりさせてくれます。
登場するキャラクターたちも、全然嫌みなタイプがいなくって、おじさんは奥さんや娘ともとっても仲良しです。
個人的には、幼い頃からの幼馴染みであり、現在は会社の同僚でもある、高柳くんがお気に入り。小さい頃に周りからちやほやされがちな時でも高柳くんは純粋に友達として接してくれ、大人になってもたまに飲みに行ってなんでもない話をする間柄の、正に親友です。こういう気の置けない友人の存在ってほんとにステキですよね。
全体的に大きなイベントもなく進んでいき、癒やされるな〜なんて読み進めていると1巻本編の最後では、家族にとある出来事が! その内容はぜひ単行本でチェックしてみてくださいね。
©松本勇祐/KADOKAWA