2018.12.10
【日替わりレビュー:月曜日】『メタモルフォーゼの縁側』鶴谷香央理
『メタモルフォーゼの縁側』
BLコミックスをきっかけに友達になって交流を重ねる、58歳差の萌え友達。彼女たちの紡ぐ日常の第2巻が発売されました。
1巻では、本屋さんでとあるBLコミックスのシリーズをきっかけに友達づきあいが始まるあれこれが日常の中で丁寧に描写され、読んでいてほっこりさせられたわけですが、2巻目はなんと、老婦人・初のBLイベント参加です! が、冒頭から……膝の調子が悪くて列を離れております……。
ナチュラルに描写される容赦ない加齢によるスペックダウン。萌える心に年齢差は関係なくても、物理的なところでは若者と老人のギャップが容赦なく描かれております。切ない! それでも、それぞれマイペースでイベントを楽しむふたりに、やはり心がほこほことしてきます。作者をつかまえて、1年半に1冊と言わずもう少し早く描いてとリクエストするおばあちゃん、強いです。
何げなく繰り返される毎日と、日々重ねられる年の差BL友達のやりとりですが、もちろん時間は作中でも経過しているので、変化する部分もあります。老婦人はちょっと気持ちも若くなっている気がするし、BLも、借りるだけじゃなく自分で買ってみようかしらと本屋さんのBLコーナーに立ち寄ったりします。なんと冬コミにも参加しそうな勢いです。
女子高生のうららも、学校生活の中でマンガではない恋愛にちらっと目がいくようになり、マンガ友達の男の子とその彼女がちょっと気になってきたりと、三次元でのメンタリティに動きが見え始めました。そしてついに……ついに! 読む専門だったうららは、58歳年上の腐女子友達に、
「私がうららさんだったらね 描いてみちゃうかもしれないわ」
と、さりげなく背中を押され、ついに描く側に回る……かもしれません。萌友の影響力は本当に素晴らしいです。
彼女たちが友達になるきっかけになったBLシリーズ連載が隔月から月イチに変更になったのも喜ばしいですね。老婦人は1巻で、生きてるうちにこのシリーズが最後まで読めるかを心配していて、BLの刊行速度を身をもって知っている私としてもそこはとても気になっていたので、ちょっとホッとしました。
趣味でつながる年の差友達のほのぼのしたやり取りは相変わらず楽しくて、少しずつ変わっていく彼女たちを追いかけるのもちょっとワクワクする、素敵な日常系マンガです。3巻の発売も楽しみに待ちたいと思います!
©鶴谷香央理/KADOKAWA