2018.12.26
【日替わりレビュー:水曜日】『羽山先生と寺野先生は付き合っている』黄井ぴかち
『羽山先生と寺野先生は付き合っている』
担任と副担任の先生は絶賛恋愛を勉強中
担任の先生、羽山飛鳥。イケメン系の堅物保健体育教諭。副担任の先生、寺野沙紀。ほんわかした優しい空気の生物科教諭。
2人はお付き合いを始めた。超絶奥手な2人、ときめきが加速し、学校でもキラキラした目でお互いを見てしまうほど。確かにウブなのはかわいいけれども、それでまともに目を合わせられない、会話もままならないとなると、これは少々問題。
恋愛初心者な先生2人を描いた、百合ラブコメディ。
同僚の先生も、生徒も、2人のお付き合いにすぐ気づいて全員が応援という、ものすごく優しい世界。生徒に至っては、羽山に「進行形で!! 本人に好きって言わなきゃダメです!!」「寺野先生のレア写真★これ見て練習してください!」と、お付き合いの様子にダメ出しをするほど。
超絶お膳立てなシチュエーションなため、周囲でなにか問題が起きるんじゃないかという危惧は一切わかない。徹底して、2人の恋愛進展の一歩一歩にスポットが当てられている。
寺野は羽山を「凛としてかっこよくて」「すごく少女みたいな雰囲気でかわいい」どっちも好きだと述べた。
羽山は寺野を「感情豊かな少女みたいな寺野沙紀先生」「寄り添ってくれる大人の寺野沙紀さん」どちらにも惹かれていたと述べた。
お互いに、大人だけど「少女」な一面を見つけているのが、この作品の魅力の一つ。2人は立派に慕われる大人の教師として、生徒の前に立っている。だからといって青春を喪失したわけではない。今恋をして、時々大胆になる2人は、青春真っ只中の少女そのもの。
寺野と羽山が2人きりの時、はっちゃけて服を着たままプールに飛び込みそのままキスをする様子は、とてもキラキラしていて眩しい。
後半関係がどんどん進んでいく様子も必見。臨海学校の施設挨拶に2人で前日入りし、宿で2人で濃厚な初体験、次の日普通に先生としてきちんと活動している。表に出さない、見てはいけない姿を覗いてしまった感、大変心臓が高鳴りました。ごちそうさまでした。
©黄井ぴかち/一迅社