2019.01.14
【日替わりレビュー:月曜日】『かくしごとワンルーム』円藤エヌ
『かくしごとワンルーム』
行きずりの相手との成り行き同居BLです。円藤エヌ先生の初コミックスとなっております。
本作のカップリングは、小説家×正体不明の同居人。
メイと名乗る行きずりの男とスランプ中に出会った安達は、一晩限りのつもりで彼を家に招き入れます。そしてあっさり身体の関係になり、一晩だけのつもりがいつの間にか同居状態に。執筆が行き詰まって限界突破し、死にたくなったときにメイと結ぶ身体の関係は、実に都合の良いストレス発散になったのです。
何とも即物的ですが、「居場所を提供する-身体を提供する」という、お互いが納得するWin-Winの関係が成り立っていたので特に問題はありません。
ただ、メイは時々ふらっと数日いなくなっては、大金を持って帰ってくるという習性がありました。実に素晴らしい習性ですが、どう考えても普通に稼げる金額ではないので気になるに決まっています。どうやら身体と引き換えに得ているお金のようですが、高級コールガールも顔負けの荒稼ぎっぷりです。メイは過去のトラウマからひとりの相手を決めず、誰にも本気にならないように気をつけて生きています。
安達は、はじめは都合のいい同居人としてメイを扱っていますが、次第に彼に惹かれていきます。メイも安達に本気になりかけている自分に気付き、慌てて家を出ていきます。そう、いなくなって初めて気づくパターンですね。こんなにもはまっていたなんて……! というやつです。
合いカギも置いて消えたメイを探して、見つけた時にはなりふり構わず、メイと一緒にいた男も目に入らないくらい必死で捕まえて連れ戻します。そして必死に口説きます。熱烈な口説き文句を重ねられ、もう一度だけ信じてみようという気持ちになったメイと晴れて両想いに。
ストーリーは分かりやすくストレートなテーマで、絵も綺麗でかわいく読みやすいので、ザ・BLという感じでとてもおすすめしやすい作品でした。
一度裏切られたトラウマから人間不信になっていたメイの心を溶かした安達が素敵だし、ふたりの心がちょっとずつ変わっていく過程にもドキドキします。素直な萌に、心が洗われるような気持ちになれるのではないでしょうか。
©円藤エヌ/一迅社