2019.02.10

【日替わりレビュー:日曜日】『アンダーニンジャ』花沢健吾

『アンダーニンジャ』

『アイアムアヒーロー』『ボーイズ・オン・ザ・ラン』『ルサンチマン』と、圧倒的オリジナリティに溢れる作品を送り出してきた花沢健吾先生が新たに描く物語、『アンダーニンジャ』をピックアップ。本作は、「ヤングマガジン」で連載されているものですが、並行して「ビッグコミックスペリオール」では『たかが黄昏れ』という作品も同時連載されています。

かつて栄華を誇った日本の忍者たちは、戦後GHQによって組織を解体させられ消滅した、とされていました。しかし実は今でも20万人もの余るほどの「忍者」が秘密裏に存在していて──、という現代社会が舞台。

忍者の精鋭達は、国家レベルの争いごとにおいて極秘の暗殺や破壊活動任務などを請負い、その他の多くの忍者達も国内の官民あらゆる組織に潜伏していますが、そんな中でも末端の忍者たちは職にあぶれるものもいました。その一人、自称17歳の下忍・雲隠九郎が主人公。どうも「雲隠一族」という過去の名家の末裔の様子です。

彼は仕事がないため、日々ゴロゴロとまるでニートのような生活を送っていましたが、ある日突然重大らしい「忍務」が届き……というのが冒頭のあらすじ。仕事のある忍者たちは派遣会社のような会社組織を構成している、というのが現代的でリアルです。

花沢先生らしい、冗談なのか本気なのか分からない、つかみ所がなくちょっとずれたコメディテイストで味付けされながらも、あくまで土台の構成は命のやりとりが基本の暗殺者達が繰り広げる社会の暗部。どれだけライトな場面を描いていても、何か起こるのではないかというどろっとねちっこい不穏な空気が必ず匂い立ってくるのは、さすが花沢作品ならではです。

そして、今回も登場するキャラクターたちがまた濃いのなんの。

同じぼろアパートに住む、盗んだブラジャーを身に纏っていた中年・大野や、風俗で働き日中はだいたい泥酔している川戸をはじめ、海外の犯罪組織から派遣された謎の外国人に、配達員のような格好をしている中忍の加藤、そして完全に浮浪者の見た目で自分の母乳を絞っている元一等忍尉の佐々魔よくこんな怪しげなキャラたちを思いつくな……という程、個性的な面々が今回も揃っています。

まだまだ導入の導入にすぎない1巻。九郎に課せられた「忍務」とはどういったものなのか? 「アンダーニンジャ」と何なのか? 謎が謎を呼ぶ設定に、今後の展開にも非常に期待できる内容です。

男が絶滅したとされる100年後の日本を描く『たかが黄昏れ』と共に、花沢先生が魅せる新しい作品たちをぜひチェックしてみてくださいね。

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この記事を書いた人

八木 光平

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