2019.02.26
【日替わりレビュー:火曜日】『超常探偵X』saxyun
『超常探偵X』
『ゆるめいつ』でおなじみ、saxyun先生の学園ミステリー風本格コメディ『超常探偵X』の、完結となる2巻が発売されました。
前作『空想科学X』でも冴え渡っていたシュールギャグのボケとツッコミも健在。そう、saxyun先生のボケツッコミはスピーディで心地よい。
謎のわらべ唄「世界の どこかで 何かある」
「なんでもアリじゃねえかそれ」
殺人事件の現場らしい白線のシルエットで大喜利をはじめる三人の女子高生たち。現場に落ちてた血のついたハンマーは、「まあ関係ないか」で投げっぱなし。「うぉーーーい!」読み手すら心の中で大ツッコミをせざるを得ない。これが新しい読者参加型コンテンツ……なのか? saxyun節が炸裂してて最高です。
『超常探偵X』は推理メインなのですが、タイトル通り「超常」現象がよく起こります。2巻の外来生物の襲来も、根本的に解決してません。今にも壊されそうな扉でエンド。その後みんなはどうなるの? 誰も教えてくれません。
トイレの花子さんもDJに合わせてダンスしますからね。何を言ってるかわからないと思いますが、書いている筆者もすべてを理解しているとは言い難い。でもsaxyun先生が描くおかっぱ少女、可愛いからOK!
そういえばオカルト研のコマツさん、ちょっとどころじゃなく不思議でしたね。謎が謎のまま解決しないのも「探偵部」の3人らしくて、まあいいか、と思えてしまう脱力感。『ゆるめいつ』に通じるリラックスした空気感が味わえます。
意識を高くもって自己啓発に努める。社会的意義のある仕事をする。どちらも素晴らしく立派なことですが、そんな背伸びばかりじゃ、長い人生は疲れます。世の中、緩急が大事。『超常探偵X』と『空想科学X』で心をマッサージして、緊張感を解きほぐしましょう。
©saxyun/KADOKAWA