2019.03.06
【マンガレビュー】『ポチとヒナ』たぶん【獣人と鈍感少女の一途で可愛いラブコメディ!】
『ポチとヒナ』
恋する獣人、気づかない少女、二人きりで同居中
でっかい男子と、ちっちゃい女子の組み合わせは、マンガの歴史を通じた「萌え」の1つだと思う。多分神話時代からあると思う。
今回紹介する『ポチとヒナ』も、サイズ差フェチが生かされたコメディ。
身長差だけでなく、「獣人と少女」「いかつい男子と優しい女子」「幼馴染」「隠れ同居」「恋する少年と鈍い少女」と、ニヤニヤときめき要素の宝箱。どれか1つでも心に引っかかる人は読んで損なし。
獣人と人間が普通に共存する社会。高橋ヒナは高校2年生の少女。彼女の両親が長期出張のため、幼馴染の犬型獣人男子・犬飼ポチがセコム代わりに同居することに。
ヒナは幼馴染感覚のままなので、当たり前のようにポチにちょっかいを出して絡んでくる。しかしポチは、ヒナのことが異性として好き。今二人きりで住んでいることは絶対周囲に知られたくなくて隠しているのは、色々こじれそうだから。
ヒナがポチに頻繁に、楽しそうに近づきまくるで、どう見てもお似合いのカップルにしか見えないのだが、ヒナは言う。
「なんもないよ~ ポチは幼なじみで家族みたいな感じっていうか…ポチもそんな感覚だと思うし……」
ポチ、哀れ。
ポチはマンガの中では、ヒナへの好意を漏らしている部分が多い。ひなは気づいていないけど。彼女を守ろうと耐え続けるポチは、ところどころ不器用で、誠実。ずっとヒナのことを見つめ続けている彼の姿は、とても一途だ。
のんびりした性格で、身長は(相対的に)ちんまりしたヒナ。ガタイがよくて顔もいかついためみんなに怖がられるポチ。ひなを守ろうとする彼の姿は、サイズ比の関係でまるでナイト。
ヒナは筋金入りの鈍さらしいが、本当にわかっていないのかどうかは、不明な部分も多い。このマンガは基本的にポチ目線で描かれているため、ヒナ側が何を考えているか、いまいちつかみきれないからだ。
ポチの視線から見ると、常に満面の笑みのヒナ。常に無邪気だ。ヒナのポチに対しての感情は、家族なのか幼馴染なのか、あるいはもっと特別な何かなのか。ポチでも時々わからなくなる。恋人にはならなくても、今の内緒の二人暮らしは、双方まんざらでもないらしい。
学生時代の、色恋沙汰に発展していない今しか味わえない、かけがえのない関係は、急いで壊さなくてもいいのかもしれない。
©たぶん/徳間書店