2019.04.18
綺麗なキスよりも、ちょっと汚くて生々しいキスがそこにある。『恋煮込み愛つゆだく大盛り』にくまん子【おすすめ漫画】
『恋煮込み愛つゆだく大盛り』
おちんちんって、可愛かった。
タイトルと表紙の情報量の多さに、読む前に少し胸焼けしてしまうレベル。おまけに短編集の第一話が「さよならちんちん」という、帰り道にちんちんを道で拾って育て始める女性の物語だから、読む人をめちゃくちゃに選ぶかもしれない。だけど、刺さる人にはこれ以上なく刺さるだろう。
そのグロテクスな見た目、にちにちと握ったときの様子、精液を吐き出す瞬間、すべてにおいてそのおちんちんはエイリアン的な気色悪さをもっているのだが、彼女と一緒に暮らしている姿は、どこか愛おしさがある。グロテスクだけど、なんか可愛い。トンデモ話のように見えて、おちんちんをこれ以上ないくらい正確に描いている。
そして、どの話をとっても味わい深さがあり、1話ごとに余韻に浸ってしまう。恋愛とかセックスは人それぞれで、素直になれたりなれなかったり、うまくいったりすれ違ったり、相性はよくても一緒にいられなかったり、そういう切なさがこれでもかというほど随所に散りばめられている。
また、グロテスクな描写とえっちな描写の塩梅も素晴らしく、「キスシーン」を見て股間が疼いたのはすごく久しぶりだった。綺麗なキスよりも、ちょっと汚くて生々しいキスがそこにある。
読み終わったあと、恋愛もセックスも、前よりずっと愛おしく感じている。
©にくまん子/KADOKAWA