2019.11.01
不思議な三角関係がキュートな、新感覚大学デビューストーリー!『シンデレラ クロゼット』柳井わかな【おすすめ漫画】
『シンデレラ クロゼット』
柳井わかな先生による『シンデレラ クロゼット』の第1巻が発売されました。
物語の主人公は、オシャレな大学生活に憧れて、地方から上京してきた春香。しかしそんな憧れはどこへやら、20歳を迎えようとしている今も、高校の時と変わらず化粧っ気ゼロで、日々居酒屋のバイトに勤しむ日々。
そんなある日、憧れのバイトの先輩・黒瀧から、突然ご飯の誘いが! けれど、着ていく服は無いし、メイクの知識もゼロ……。途方に暮れる中、助けてくれたのは、ご近所に住む謎の美女・光さん。彼女の手ほどきにより、生まれ変わった春香でしたが、実は光には秘密があって……というストーリー。
美女は女装男子だった
光が抱える秘密とは、実は男だということ。はい、女装男子でございます。
しかもこれがなかなか強烈で、自分を磨かずにネガティブなことばかり言うような人(ヒロインがまさにこれ)に対して、ズバズバと毒舌を吐くという。「ハタチ過ぎたらブスは自己責任」なんて、なかなかのパワーワードが飛び出したり。ちなみに女装はするものの、あくまで趣味であり、内面はあくまで男性です。
毒舌ではあるものの、なんやかんや春香の頼みに応えて色々と指南してあげちゃうあたり、光の人の好さが滲み出ています。春香は春香で結構横着なところがあって、そんな光の優しさを見抜くや、結構グイグイと無茶なお願いをするという。
目的のためなら猪突猛進という、なかなか行動力のある、パワフル女子でございます。
そんな二人でタッグを組んで立ち向かう先は、ハイスペックイケメンの黒瀧。とにかく交友関係が広く、留学経験もあって英語もペラペラで、人当りも極めて良いという、コミュ力の権化みたいなヤツです。
全く本筋に関係ないんですが、「就活とか楽勝なんだろうなぁ」っていうのが一番強い印象です。知らんけど、チャラいし、絶対早慶MARCHあたりの私大生ですわこれは(偏見)。
いびつで不思議な三角関係
というわけで、この3人で物語が廻っていくのですが、築かれるのはもちろん三角関係。なんとなくメイクのテクニックとかおしゃれのポイントを具体的に解説するような雰囲気漂っているのですが、むしろそういう要素は薄めで、人間関係の移り変わりこそが見どころ。その辺はしっかり少女漫画してます。
1巻時点では完全に黒瀧に夢中な春香。けれども、気のおけない相手なのは俄然光という感じで、何かのきっかけで光が男であることを意識したら一気に物語が動き出しそうです。
光は光で、食えない性格の男かと思いきや、素直に懐に飛び込めばちょいちょい赤面しちゃうようなチョロかわ男子で、なんか簡単に落ちそうなんですよね。毒舌とのギャップが可愛らしいのです。
それに対して黒瀧は、先述の通りコミュ力の権化という感じで、とにかく何しても卒が無く、その分感情移入できるフックが少ないな、という印象。親身になって春香のために行動してくれる光と、綺麗になった春香をそのままいただく黒瀧という構図で、そりゃあ光の方が魅力的に映るよね、という。
ここから誠実さだとか、貰うばかりじゃなくて黒瀧の方から春香に何か与えるようなアクションが出てくると、俄然三角関係が盛り上がりそうです。そんな、黒瀧に期待……な2巻は、2020年2月ごろ発売予定でございます。
©柳井わかな/集英社