2019.05.08

【インタビュー】『ロロッロ!』『僕の心のヤバイやつ』桜井のりお「私はずっと挑み続ける!(下ネタも)」

一世を風靡した三姉妹ギャグマンガ『みつどもえ』に続く桜井のりお先生の最新作『ロロッロ!』

『ロロッロ!』第4巻書影

友達のいない森繁ちとせのために、天才博士の父親が作った高性能ロボット・炉端イチカ。この二人を中心に心温まる変態な心の交流!? が描かれる、時にホロリと時にポロリとイロイロと挑み続ける、ハートフルすぐ脱ぐJCロボコメです。

そして同じく、桜井のりお先生がマンガクロスにて連載中の『僕の心のヤバイやつ』

『僕の心のヤバイやつ』第1巻書影

学園カースト頂点の美少女・山田杏奈の意外な一面を目撃してしまった、中二病の市川京太郎。陽キャ美少女と陰キャ男子のだんだん縮まっていく距離にニヤニヤしてしまうラブコメが展開されています。

今回は『ロロッロ!』第4巻発売記念! 桜井のりお先生に、現在手がけられているWタイトルに関するインタビューを敢行しました。『ロロッロ!』と『僕の心のヤバイやつ』の裏話が満載のインタビュー、どうぞお楽しみください!

(取材・文:かーずSP/編集:八木光平

私はずっと挑み続ける!(下ネタも)

──まずは、『ロロッロ!』がスタートしたきっかけはどんな感じだったんでしょうか?

桜井のりお先生(以下、桜井):『みつどもえ』の連載中から構想にはありましたが、はじめに短期集中で連載がはじまりました。

『みつどもえ』は小学校が舞台だったんですが、連載が長く続いていくうちに、主人公の三つ子たちの精神年齢が上がってきちゃったんですよ。小学生でやれることは全部やったという気持ちもあったので、自然と次は中学生を描きたいって気持ちになりました。

──『みつどもえ』よりも年齢が上がったことで、下ネタが増えたような……?

桜井:小学生と中学生では、そもそも知識に差がありますよね。知識があるからこそ、より恥ずかしくなっちゃう。そこは『みつどもえ』と『ロロッロ!』で全然違うポイントです。あと小学生が脱いじゃうとヤバイけど、中学生なら……まあ中学生もヤバイんですけど(笑)、なんとかギリギリ許されるのでは? っていう感じがするかなって。

──チーターとタクシーがホニャララするとかマニアックなネタに大笑いしたんですけど、その反面、週刊少年誌で大丈夫なのかなって若干心配になってしまいました。

「カップリングしりとり」の際の斬新な回答

桜井:とにかく私は思ったそのまんま描いてて、止められたらやめるってスタイルなんです。けど、これまでにストップをかけられたことはないですね。

担当編集B:雑誌的に差別的表現にかかわることは問題がありますが、「チーター x タクシー」とか、その表現によって誰かが貶められたり、傷つく人はいません。そうである限り、桜井先生の中にあるハチャメチャな面白さを引き出していただいてます。

担当編集A:去年「週刊少年チャンピオン」のキャッチコピーが「挑み続けろ」だったんですけど、桜井先生は「私はずっと挑み続ける!」っておっしゃってました(笑)。

──まさに有言実行ですね。美術部の腐女子たちが出てくると、その手の濃いネタが暴走します。

担当編集B:4巻でも腐女子たちによる男性器議論が収録されていて見どころになってます。ファンからも、ミシェル金剛の人気はすごく高いですね。

人気のミシェル金剛を含む、腐女子3人組

桜井:腐女子の3人は賑やかし役のガヤとして出したんですけど、とにかくミシェルが積極的に動くキャラなので描きやすいんですよ。なのでだんだんと存在感が増しました。

担当編集B:ただ、ミシェル単体だけで人気というわけではなくって、本作はキャラクターとキャラクターの関係性が重要なんです。ピュアな森繁ちとせがいるから腐女子のキャラが立ったり、キャラクターの相互関係の中で面白さが生まれている感じです。

『ロロッロ!』『僕の心のヤバイやつ』どちらも悩んだタイトル秘話

──『ロロッロ!』の連載開始後に、『僕の心のヤバいやつ』がスタートします。週刊連載していて、もう1本増やすのは平気だったんでしょうか?

桜井:『みつどもえ』はアナログ環境で一人で描いていたので時間がかかりました。『ロロッロ!』の時にデジタル環境に移行して、アシスタントさんにも来ていただけるようになったので、いけるかなって。

『ロロッロ!』第1巻書影

──『みつどもえ』を一人で描いていたのが驚きです。『ロロッロ!』は珍しい造語のタイトルですよね。

桜井:最初、どれもピンとくるものがなくて本当に悩みました。私が片仮名の「ロ」一文字がいいんじゃないかと提案したこともあったんです。

──「ロ」一文字、たしかに目立ちそうです。

桜井:目立つんですけど、ネットの検索で引っかからない(笑)。そこで当時の担当さんが、「ロボット」をうまく発音できない、表現できないってニュアンスで『ロロッロ!』にしたらどうかって意見で決まりました。

──イチカがロボットであることが、なかなか周囲に伝わらない感じを表しているんですね。

桜井:はい、周りに表現できないもどかしさが出ていて、インパクトのあるタイトルになったと思います。でもこの理由は、読者の方にあまり伝わってないみたいなんですよね……(笑)。

人型ロボットのイチカ

──『僕の心のヤバイやつ』は逆に文章系タイトルですね。

桜井:こっちもかなり悩みました。絶対このタイトルにしたいという候補がボツになって……最近流行りの『○○さんは△△』みたいなのとか、とにかく候補をいっぱい出しながら編集さんと相談したんです。

自分の中にある、恋心なのか何なのかわからない感情を表現したくて、「僕のヤバいやつ」ってタイトルを思いついたんです。そうしたら担当さんが「『心』を入れたほうが分かりやすい」っていう提案をくれて、今のタイトルに決まりました。

陰キャの子がどうやって集団に馴染めるのかがテーマ

──『僕ヤバ』は桜井先生としては初の男性主人公ですよね。

桜井:『僕ヤバ』は、『ロロッロ!』でイチカが男になっちゃう話を描いたのがきっかけでした。性別が男に変化したら、女子を見る目がぜんぜん変わってきちゃう話で、男子目線から女子を描くと、魅力的に見えるんじゃないかって着想からですね。

『ロロッロ!』の「イチカが男になっちゃう話」

──どちらのマンガも、主人公が「陰キャ属性」というのは何かこだわりがあるんでしょうか。

桜井:陰キャの子が、どうやって集団に馴染んだり、好きな子にかかわっていけるかっていうのをずっと考えているんです。私自身が陰キャなので、どうやったら自分と違う人種の人と仲よくなれるんだろうって考えて、「こう言えたらいいな」みたいな妄想を描いています。

──両作品とも、他人との距離感や付き合い方を重視されていらっしゃると。

桜井:『ロロッロ!』は女性目線で、女性のグループとどうやったら仲よくできるか。『僕ヤバ』は男性目線から、あの女子とどうやったら仲よくできるか。そういう違いですね。

──先生の描くドラマには、常に学生生活が根幹にあるように見受けられます。

桜井:学生の方が人間関係が濃密で、言ってしまえば逃げ場がありません。その中で仲良くせざるを得ないような環境に身を置いています。

中学高校の女子グループって、自然にいくつかのグループに分かれるんですよね。『僕ヤバ』では、超絶美少女がクラスにいたら多分こういう子が集まってくるんだろうとか、想像しながら山田たちのグループを決めていきました。

──山田と同じグループの、萌子たちのキャラ付けについて詳しくお願いします。

桜井萌子は現実にいそうなギャルで、派手なんだけど頭はいいっていう。小林も、山田に対してお世話するけど、自分自身も中学生だから抜けてる部分もある子。『僕ヤバ』に出てくる子たちは、実際にいそうな子たちを心がけています。

──『ロロッロ!』と比べるとリアリティが高いですね。

桜井:はい、『僕ヤバ』は荒唐無稽にしないように意識してます。「こんなヤツ、現実にいないだろう」って思ってほしくなくて、リアル感を強めに。外見でも、変な見た目の人を出さないようにしてます。

でもリアリティを重視している分、『ロロッロ!』と比べると、キャラクターデザインがすごく地味になってしまうのが困りました。「こんな髪型のヤツ、マンガにしか存在しない」ってキャラを出さないので、地味すぎて画面映えしないんです。だから1巻の表紙でも、かなり試行錯誤しました。

担当編集A:色味がなくなっちゃったりして、そうとう揉めましたね。

桜井:最初、山田は黒髪だったんですよ。とにかく地味すぎるんで青くしました。

表紙の元となる貴重なイラスト

担当編集A:1巻の表紙は、桜井先生が机を塗り直したり、デザイナーさんも試行錯誤してすごく頑張ってくれたんですよね。

──クラスで埋没しちゃうタイプの男の子が主人公だと、リアリティを強めることで事件を起こすのが難しい、物語を作るのが難しいと思ってしまいがちなのですが。

桜井:確かに事件は起きないけれど、自分の心が膨らみ過ぎて、大したことがないことを大事件に感じる、みたいなことが好きなんです。

──食べかけのお菓子の袋を渡された時、山田には何でもないことが京太郎にとっては大事件で、めちゃくちゃ動揺しちゃってる感じですね。

桜井:ああいうのは山田本人もたぶん覚えてないと思うんですよ。傍目から見れば別に大したことじゃないけど、本人には大事件。そういう些細なところを描いていきたいなって。

山田には何でもないことが京太郎にとっては大事件

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