2019.11.29
不思議な三角関係がおもしろい、勘違いすれ違いラブコメディ!『消えた初恋』アルコ, ひねくれ渡【おすすめ漫画】
『消えた初恋』
ラブコメです
『俺物語!!』のアルコ先生の新作『消えた初恋』が発売されました。今回もアルコ先生は作画担当で、原作は河原和音先生から替わって、ひねくれ渡先生となっています。
『俺物語!!』から打って変わって、白が基調の爽やかさ溢れる表紙。アルコ先生は実はシリアスものも抜群に上手いので(『終電車』とか是非一度読んでほしい)、今作ももしかしたら青春のほろ苦さ溢れる切ないストーリーなのかななんて思ってページをめくってみたら、めちゃめちゃラブコメでした。
こんなあらすじ
物語の主人公・青木は、隣の席の橋下さんに片想い中。ある日、橋下さんの消しゴムを借りたら、ケースの下には同じクラスの男子・井田の名前が……。
まさかの失恋にショックを受ける中、あろうことかその消しゴムを落としてしまい、井田に見られてしまう。青木の受け答えが不味くて、井田は青木が自分のことを好きだと勘違いしてしまい……という、勘違いすれ違いラブコメディ。
アンジャッシュのコントのよう
お互いの言葉のすれ違いから勘違いが生まれて、さらにそこに勘違いを重ねていくっていうやり取りは、さながらアンジャッシュのコントのよう。よく考えられているなぁという感心もありつつ、まずは純粋に楽しくて面白い。
青木は橋下さんの気持ちが井田にバレないようにと必死で行動するわけですが、それがなんだか青木が井田のことを好きかのような言動に見えちゃうんですよね。
井田も井田でそんなもの一蹴すれば良いものの、懐が深いイイ男ゆえに、青木のことを真剣に考えて、まずは友達から……と、むしろ距離を縮めてくるという悪(好)循環。
もちろんそこに橋下さんもちょこちょこと絡んできて、何やらとても不思議な三角関係が築かれていきます。
とにかく愛らしいキャラクター達
笑えるのはそのすれ違いのさせ方が上手いからというわけではなくて、みんながみんな、一様に真面目で一生懸命で、その空回り方が面白いからなんですよね。
『俺物語!!』でもそうでしたが、悪意を持った人間がひとりもいない、優しい世界がそこには広がっています。それぞれ個性や考え方の違いはあれど、間違いなくみんな全力で生きて、全力で青春してる。だから、みんな愛おしい。
私は作品を見るときは、大抵誰かに肩入れしつつ見ることが多いのですが、本作に関してはどのキャラも甲乙つけがたく愛らしいためか、最後までフラットな目線で物語を楽しんでいることに気が付きました。いやぁ、ほんとにどのキャラも活き活きしてるんですよ。
このアホ可愛い不思議な三角関係、話題&夢中になること必至ですので、まだの方は早めにチェックをしておきましょう。
©アルコ, ひねくれ渡/集英社