2020.09.19

並外れたネガティブ少年と超のつくポジティブ少女、両想いなのにすれ違い続ける2人のドタバタラブコメ!『ネガくんとポジちゃん』 森田俊平【おすすめ漫画】

『ネガくんとポジちゃん』

本日は、KADOKAWAがニコニコ静画で展開しているWebマンガサイト「ドラドラしゃーぷ#」にて配信中の『ネガくんとポジちゃん』を紹介しよう。

2019年夏に短期集中でスタートしたのち、高い再生数・お気に入り数を受けて正式な連載作に決まり、一周年をこえて単行本第1巻が発売。続刊も見込まれている作品だ。

とある学校の、とあるクラス。ここに対照的なふたりの生徒がいる。

自己評価が低すぎて何事についても疑心暗鬼に陥ってしまう男子・根賀修弥(ねが しゅうや)と、明るく天真爛漫で人気者の女子・保志沙也加(ほし さやか)。

根賀くんは日ごろから保志さんを遠巻きに見つめては「めっっっちゃ好き!! なんだが!!」と恋心を燃やしているのだが、自分のような陰気でキモい人間と彼女には縁がない、告白なんて絶対無理だと思い詰めては悶えるばかり。

一方で保志さんのほうはといえば……これが実は案外と脈ありだったりして。根賀くんの落とした消しゴムを拾ってあげて、「どうも」と短くお礼を言われただけでも幸せ絶頂に舞い上がる恋愛脳フル活動っぷりで毎日を楽しく送っている。

並外れたネガティブ少年と超のつくポジティブ少女、両想いなのにすれ違い続ける2人の行く末はどっちだ!?

という具合に、性格の極端なコントラストで笑わせるラブコメになっている。

そもそも、ふたり以上の人間がいて近くに過ごしていれば、性格や考えの違いによって何かしら大なり小なりのイベントが起きるもの。ラブコメはそれを恋愛沙汰に集中して楽しめるところに醍醐味があるが、本作の場合は起きるイベント以前に、まず異なる性格それぞれ自体に強くフォーカスしているのが面白い。

とくに保志さんのポジティブさは……いや、これはポジティブという言葉で片付けていいのかどうか。

根賀くんとふたりで日直になったのを事実上のカップル成立と本気で言い張ったり、相合傘するさまを想像して「歩きながらチューしてんのと同じだと思わない!?」と盛り上がったりと、好きな男の子に関わることへの思い込みの激しさは理性のタガが外れっぱなし。

根賀くんの言動に対して好意的解釈をほどこすなんて域は突き抜け、言われてもいない口説き文句やプロポーズを幻覚に見るのが日常茶飯事で、もはや“アッパーにキマってる”と形容したくなるレベルのやべーやつである。

このあたり、明るく描かれていても単体だと恐ろしく思えてしまう可能性があるのだが、ツッコミ役の親友キャラ・マキちゃんを横に配置して「正気か おのれ」と言わせることでしっかりコメディを維持しているのがうまい。

さらに話数が進むと、ロリっ子あつかいされる小さな自分を気にしている米国人留学生ロリィやら、人気者になりたくて濃ゆいキャラを演じるも素の純朴さが漏れてうまくいかない高校デビューのぼっち娘・河合奏子といった面々が加わり、メインふたりきりの性格劇としてだけでなくスタンダードなギャグ寄りの学園物としても読みごたえが出てくる。

短期集中で終わっていたらそういう大きな枠での持ち味を出すところまではいかなかっただろうから、うまく人気が出て長期連載に移ってくれてよかったなあ、と噛みしめるところである。

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miyamo

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