2021.05.12

強大な力を持つ巨乳の悪魔でも、ババ抜きやオセロでは高校生に勝てなくて涙する。人類滅亡をかけた癒やし度高めコメディ!『デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い』平方昌宏【おすすめ漫画】

『デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い』

強大な力を持つ巨乳の悪魔でも、ババ抜きやオセロでは高校生に勝てなくて涙する

デビィ・ザ・コルシファは負けず嫌い』というタイトルが長くて覚えられないよ、という方のために先にヒントを。コルシファの「コ」の後で切ろう。デビィ、雑魚、ルシファ

大人っぽい見た目の強そうな悪魔の美女がものすごく雑魚、というコンセプトがめちゃくちゃわかりやすくて気持ちがいい作品だ。しかも彼女が負けるのは戦いではなく、人間の「遊び」

退屈すぎて人間を滅ぼそうと企んだデビィ・ザ・コルシファ。彼女が訪れたのは高校生の少年・凄六郎(すご・ろくろう)の家だった。勝負を挑まれた彼は、腕力ではかなわないことを悟って咄嗟にババ抜きで勝負するようはったりをきかせる。

ふたりババ抜きがいかにしょっぱいゲームになるかは、やったことが有る人ならすぐわかるはず。最後の二枚になるまでお互い捨て続けるだけになる。ジョーカーと普通の札の二択になってからが勝負だ。

しかしデビィは駆け引きが全くできない。彼女の頭の上には顔がついており、これが全くポーカーフェイスできないため感情も視線も丸出しだ。強気な発言を繰り返していたデビィだが、あたふたするこちらのほうが彼女の本性だとすぐにバレる。

以降、彼女は六郎に全く勝てなくなる。どうやってもう嘘がつけない彼女の姿は、まるで子犬のようだ。

ドッジボール、なぞなぞ、オセロ等々、勝負内容はひたすら庶民的だ。子供っぽいメンタルのデビィは人間界での「遊び」では、何をやっても六郎に勝てない。負けず嫌いなので、通常の顔も上の顔も怒ったり恥じらったり泣いたりと忙しい。しかも悪魔が人間界にいられるのは一日一時間なので、勝つまでやるというスタイルもとれない。

美女悪魔デビィがほぼ毎回へっぽこなのが楽しいこの作品、癒やし度が極めて高い

大人になるとどうしても人間は建前が発生するため本音が分かりづらい。しかしデビィは極端なまでにあけっぴろげ。大人っぽい姿で強い悪魔らしい存在が、嘘偽りなく人間の子供の遊びに本気になる様子がとても愛しく、見ていて安心できる。面倒な言動の多いキャラではあるが、彼女が遊びに来たらどんなに楽しいだろう、と感じさせる魅力であふれている。

大体ひどい目にあう(というか自爆する)キャラだが、六郎の友人である望月(もちづき)てまりが彼女と自然と仲良くなって、これまた嘘偽りのない友人としての幸福な時間をすごすシーンもあるため、さらに癒やし度はアップ。ヒッチャカメッチャカなギャグ漫画だが、みんなが幸せになる優しい世界だ。今のところは。

巨乳でハイテンションでおバカ、といえば同じ作者の『新米婦警キルコさん』に通じる部分もとても多い。どちらもポンコツっぷりと「実はめちゃ強い」というギャップが痛快だ。

ただ「キルコさん」は警察の話というドラマ性が強かったのに対し、「デビィ」は高校生の等身大の日常風景に徹している。このあたりが悪魔という性質を持ったキャラクターとどう噛み合っていくのか気になるところだが、まだしばらくは高校生なら誰でもできるような一般的な遊びに真剣に挑み続けてほしい。デビィが六郎を殺すのなんて、簡単なことなのだから。

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たまごまご

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