2018.04.22

【日替わりレビュー:日曜日】『かしましめし』おかざき真里

『かしましめし』

かしましめし

あなたにとって「食事の時間」とは?

仕事に終われ、口に放り込むコンビニ飯や立ち食いそばのときもあれば、とっておきのレストランで特別な一日をお祝いするときも。もちろん、自宅でさくっと作って済ますこともあれば、大切な人を招いて腕によりをかけて手料理を振る舞うこともあるでしょう。
「食事」は生きるために必要なことであって、その時間の使い方は時と場合によって大きく変わるもの。嫌なことがあった日も、美味しいものを食べて、大好きな友人に話を聞いてもらったら随分楽になった経験はきっと誰にでもあるはず。

さて、今日のレビューはそんなごはんにフォーカスを当てたマンガ、『かしましめし』。大学の同級生3人が、食卓を囲み語り合い、それぞれの生活が少しずつ進んでいく物語なのですが、単行本の帯には「28歳、独身、職なし。わたしを救う、ごはんがある」の文字が。

主な登場人物は、心が折れて仕事を辞めた千春、バリキャリウーマンだけど男でつまづくナカムラ、恋人との関係がうまくいかないゲイの英治の3人。誰かひとりが主人公というわけではなく、3人それぞれの悩みや日常が描かれています。みんな一見笑っているんだけど、色々ある。落ち込んだり悩んだりするけれど、ごはんを一緒につくって食べることで、救われる。

1巻の表紙にもなっている千春が主にごはんを作るのですが、これがまた素敵なレシピばかりで! 個人的推しは、2話にでてくる「エビと春雨のタイ風煮」。土鍋でどかーんとつくるので、これだけでメインがはれちゃうのです。春雨だからヘルシーだし、お酒にも合うのでもてなしメニューとして大活躍。

作者は広告代理店で働く女性を描いた、お仕事マンガの『サプリ』(名言多し!自分が就活の時、何度読み返したか……)や、恋愛と仕事に悩みながらWワークに踏み出す女性が主役の『&』、現在『かしましめし』と並行して、最澄・空海の人生を描く『阿・吽』も連載しているおかざき真里先生。

画力や構図が素晴らしく、カラーの見開きなんてもう額装したいくらい。10年近くファンやってますが、ここ最近の絵はまさに鬼気迫るものが……! ぜひぜひ、自分の目でお確かめを。

世間はもうすぐゴールデンウィーク。お出かけするのももちろん良いけれど、大切なひととおうちごはんをしたくなる。そんな一冊の紹介でした。

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コミスペ! 編集部

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