2018.07.02
【日替わりレビュー:月曜日】『ショコラティエはなにも知らない』西谷遥夏
『ショコラティエはなにも知らない』
人生23年、チョコ作り一筋で恋もせず、年齢=恋人なしで生きてきた秀人。
初めて恋した相手は、スパダリ系のやり手リーマンでした。
という感じの純愛系の雰囲気を醸しており、表紙もピンクベースでとっても可愛いんですが、油断禁物です。ページめくったらいきなりギシギシベッドシーンの回想からはじまってます。けっこうがっつり描写されてるので、外で読むときはご注意くださいね。
ストーリー自体はしっかり純愛系の王道BLで、スパダリ系リーマン×純情ショコラティエというカップリングです。
実はこのリーマン、本当はショッピングモール建設のために秀人の店を買収して立ち退かせようとやってきていたのですが、いつの間にかひたむきにチョコを作り続ける秀人に惹かれていって、最終的にミイラ取りがミイラになるみたいな流れです。遊び人的な描かれ方をしておりますが、案外不器用な攻様でして、可愛げ成分多めなため、あまり厭味な感じはありません。
一方の秀人は、何しろ初恋ですから自分の恋心に気付くのに時間がかかります。
気持ちは追いついていかないんですが身体は正直だったといいますか……。
恋を自覚していない割にはチョコを食べさせるために唐突に口移しで相手に迫ってみたりとアンバランスな積極性を発揮。無自覚小悪魔な受みたいになっております。ファーストキスを職場でやっちゃうんですから、なかなかBL的才能があると言えるのではないでしょうか。
当て馬として、わかりやすい買収のライバル会社営業等も出てくるのですが、こちらは割とあっさり撃退されてしまうので、二人の恋愛促進剤としての役目をしっかり果たしてくれた程度の認識でOKです。
買収目的で近づいたけど、この恋心は本物なんだ!という都合のいい主張を秀人が信じられるのか。
秀人の両親が残してくれた店は立ち退かずに済むのか。
見どころがぎっしり1冊に詰まった、満足度の高い作品です!
©西谷遥夏/ジーウォーク