2018.11.11
【日替わりレビュー:日曜日】『オリオリスープ』綿貫芳子
『オリオリスープ』
11月11日。1が並び、ポッキーの日な本日は天気も良く、まさに秋晴れ!な1日でしたが、暦上は実はもう冬なのです。
1年を24等分し、季節を表す名称をつけた二十四節気では、今年は11月7日の「立冬」より冬となりました。日が短く寒い冬は外に出るのも億劫になってしまうし、おふとんからも出られなくなりますが、冬ならではの喜びもあるわけで…。
とりわけ「暖かい食べ物・飲み物がお腹にしみる」のは、誰にとっても、冬の幸せのはず。その中でも、心も体もあったかくしてくれる「スープ」は、日常の食卓に馴染みすぎている味噌汁から、自動販売機やコンビニでも手軽に飲めるカップスープに、高級レストランでアミューズとメインをつなぐ役割のお腹やすめなどなど、無限ともいえる可能性が詰まっています。
今日はそんなスープに着目したマンガをご紹介。その名も『オリオリスープ』。四季折々の、季節を味わうスープが物語をつなぐ、グルメマンガです。
主人公である本の装丁家・原田織ヱは、超がつく食いしん坊。その中でもスープが大好きで、旬のものをみると勤務先の事務所でもスープをつくってしまうほど。事務所のメンバーや家族との日々の中で、スープを通して様々な交流が生まれます。とにかくスープが主役で、そのメニューがとても魅力的。
《メニューの一例》
菜の花とベーコンのミルク煮/エスニック風スープカレーうどん/オクラとミョウガのおすい物/トン汁/カブのポタージュ/鮭とキノコのクリームシチュー/レンコンのすり流し汁/オレンジピール入りマサラチャイ/鶏とアスパラのマスタードスープ/自家製ジンジャーエール/冷やし甘酒/揚げ鱈と水菜のみぞれ鍋/新ニンニクのコンソメスープ/トリとカツオダシの冷やし茶漬け etc etc……
特にお気に入りのメニューをピックアップしましたが、まあどれも美味しそうで!
ざっくり目のレシピが載っているメニューもあるので(全てではありません)、真似したくなる美味しそうなスープが続々登場。
スープって何を指すの? と気になるところですが、汁物は全般OKなゆる〜いくくりなので、ドリンクもよく出てきます。このマンガで知ったチャイのブレンド・淹れ方は個人的にもかなりお気に入りで、いつの間にか自分のレシピにしてしまっているほどです。
全編ゆるく繋がっている話はあるものの、基本的には1話完結型なのでさくっと読むのにもオススメです。主人公の織ヱはスープが好きな理由を
「人に必要な栄養と水分を一皿で補える! それに、ホッとする。疲れている時や元気が出ない時、一口飲むだけで心も体もあたたまるでしょ。あと簡単につくれるし」
と言います。確かに…。スープが入った鍋があるキッチンは、まるで幸せの象徴のよう。きっとあなたも、スープを煮込んでみたくなること間違いなし。
©綿貫芳子/講談社