2019.01.07
【日替わりレビュー:月曜日】『仇椿ゆがみて歯車』吹屋フロ
『仇椿ゆがみて歯車』
あけましておめでとうございます!
新年一発目のレビューは、正月らしく着物姿が色っぽい時代劇風のBL作品をチョイスしてみました。分厚くて1巻で完結していて読み応え抜群ですよ~!
カップリングは、年下わんこ攻×ワケあり孤独受です。
年下攻の流行、長く続きますね。今年も初っ端から素晴らしい年下攻に出会えてウホウホしております。
シリアスベースの時代劇BL・仇討もの。オビに「過去の因縁を越えて、強く烈しく求めあう心と体──」とあるように、けっこうな因縁です。
仇討ものということでなんとなく察せられると思うのですが、この年下わんこ攻、父親の仇を討つために剣豪たる受さんに近づくんですよね。剣術の教えを請うという名目で近づき、なりふり構わず下郎として側に置いてもらうことに成功して、虎視眈眈と仇を討つタイミングを狙いながら生活して──ミイラ取りがミイラになるこのベタ展開。
そう、そうなんです。父親の仇を愛してしまった……という禁断の愛!! 萌えます。もう萌えるしかない設定です。
しかもこの作品はそれだけではありません。なんとこの受、わんこの父親と恋仲だったのですよ……。愛した男を依頼通りに斬り殺しているのです。もう、殺すしかない状況になってしまうんです。
この設定だけで、彼らがどれほど激しい葛藤を胸中に抱いたのか想像できるというものです。狂おしく切ない! お互いに惹かれ合っているというのに、受も、自分のそばにいる癒しのわんこが、自分がかつて愛して斬った男の息子だと知ってしまいます。知っていてももう気持ちは止められないし、止まらない。そして同時に、わんこは仇討に来たのだという事実も変わりません。
ハッピーエンドが基本というBL業界ですが、この二人が選んだ結末はどんなハッピーなのか。ぜひ、萌えポイントを刺激された方は読んでみてください!
なんとも見事な親子丼BLですから!!!
©吹屋フロ/リブレ出版