2019.03.29
女児向けアニメ好きOLレイヤーと、スパダリ上司のドタバタラブコメ!『ひみつのイノセントワールド』浜心汐里【おすすめ漫画】
『ひみつのイノセントワールド』
笑いトキメキ両面でツボをおさえてて一読の価値あり!
ちょっと前に発売された作品なんですが浜心汐里先生の『ひみつのイノセントワールド』が面白かったです。表紙からデコデコしていて、こう、ちょっとイロモノ感があり、なかなか手を出しづらい印象があるのですが、もっと早く読んでおけば良かった……。
さて、本作、表紙やタイトルからは全く内容が想像つかないと思うんですけれども、まず主人公は生真面目なOLです。魔法少女とかじゃないです。
親の言う通りに真面目に生きてきたものの、その真面目さが祟って会社に疲れてしまったヒロイン・律。心が弱っている時にぶっ刺さったのが、子供時代に見ていた女児向けアニメ。あっという間にのめり込み、気がつけばゴリゴリのコスプレをするまでに。
ある日、いつも通り意気揚々とコスプレイベントに参加していたところ、ばったり会社の上司・風見と鉢合わせ、その趣味を知られてしまいます。後日、「バラされたくなければ家に来てください」と脅され、ビクビクしながら行ってみると、そこには会社での姿からは想像ができないような、ガチオタの風見の姿が。挙げ句、成り行きから結婚まで申し込まれて……というお話。
風見は律というよりもコスプレをした姿を求めており、一方の律はスーパーダーリンな結婚相手が欲しいという欲求があるということで、双方の利害が一致したがために、同居生活をはじめるという流れ。律が自宅でコスプレを披露する代わりに、風見が家事をこなすという役割分担。
風見はイケメンで家事も完璧にできるし、仕事もできるというハイスペック男子。そんな完璧男子でありながら、パートナーの浮気が原因で離婚を経験しており、その傷を、律もハマっているアニメによって癒やされたという、いわば律とは同じものに救われた“同志”です。
共通の趣味があるってことは、それだけで2人の距離を縮める材料には事欠かないってことなんですが、一緒に暮らしてみると、その他にも互いの良いところが見えてきて、段々と大切な存在へと変わっていくんですよね。
律から見た風見は風見でしかないんですが、風見から見た律というのは、最初はコスプレ後の姿=いわば偶像に対しての好意なんですよね。それが日々を重ねるごとに、その視線が、言葉が、律に対して向けられるようになってくる。その変化がたまらなく温かくて、幸福感に満ちるんです。全体的にナヨナヨしたダウナー感あるドタバタコメディなんですけれど、その関係性の変化がたしかに見て取れて、「あー、いいわぁ。」となるんですよ(語彙が貧困)。
こうして見るとやっぱり結構イロモノストーリーで、絵柄もなんとなく垢抜けない感じなんですけれども、これが笑いトキメキ両面でツボをおさえた一読の価値ありな作品となっておりますです、はい。騙されたと思って、まずは試し読みからでもいかがですか?