2019.04.04
妖怪と人間が一緒に暮らす、穏やかでほのぼのとした日常『となりの妖怪さん』noho【おすすめ漫画】
『となりの妖怪さん』
妖怪と神様が一緒に暮らすほのぼの世界
そこは、妖怪と神様が人間と同じように暮らす世界の田舎町・緑ヶ森町。
一匹の長寿猫・ぶちおは、突如猫又へと進化を遂げる。いきなり人間と同じように話し出すぶちおに、驚愕する人間はいない。むしろ、ぶちおの方が猫又になったことに動揺しているくらいだ。おまけに、妖怪新生届や妖怪マイナンバー制度、妖怪健康保険など、制度がしっかり整っている。学校のクラスメイトも、人間もいれば河童もいるし、担任の先生はろくろ首だったりする。
この作品の中で、妖怪や神は驚くほど境目がなく溶け込んでいるのだ。
しかし、妖怪には妖怪の事情もあるし、悪いことをする妖怪もいる。学校の帰りに「露出狂」が出るから気をつけるように、と言われるが、それは「霊感がある人」限定の話。つまり、コートを着た露出狂の妖怪が現れる、という報告だった。霊感がある人間もいれば、霊感のいない人間もいる。
穏やかで、ほのぼのとした日常の中で描かれる、妖怪と人間の温かい関係性はとても尊いものだ。それぞれに怖い思いや寂しい思いを抱えながらも、言葉にしてしまうと陳腐だが、互いに思いやる心や気遣いでしなやかに生きていこうとしている。
こんなに、読後に心が洗われる作品もなかなかない。なぜぶんたが猫又に進化したのか、そして、これからのぶんたの進む道について気になる終わりの第1巻。これからもこの日常が作品として続いていくのが嬉しい。
©noho/イースト・プレス