2019.04.24

思春期で無口な妹の真意は、検索履歴の中に……!?『妹りれき』西村啓【おすすめ漫画】

『妹りれき』

妹の検索履歴を漁るのって、アウトではないのですか?

「人の心の中を知りたい」というのは永遠のテーマの一つ。でも特殊な能力でもない限り、それは無理というもの。

それでも覗きたい、という場合に取れる手段の一つが、検索履歴確認だ。かなりストーカーじみている、ギリギリアウトな行動ではあるが、好奇心はわいてしまうというもの。

兄の咲太郎(高3)と妹のいくみ(高1)。幼い頃はとても仲良しだった二人だが、今や会話がほとんどない、冷えた関係になってしまった。特にいくみは口数が極端に少ない。兄からしたら何を考えているのかさっぱりわからず、やきもきさせられるばかり。

ある日PCを確認すると、謎の検索履歴がブラウザに残っていた。どうやらいくみのスマホと同期した際、残ったものらしい。謎多き妹の、思考の末端を見つけてしまった咲太郎。気になってつい、履歴を調べ始めてしまう。

検索履歴は、日記などのような筆記メモ以上に、はるかに思考がそのまま出るものだ。基本「わからない」から打ち込むものなだけあって、相手の興味・関心が嘘偽りなく残っていることになる。

妹の履歴はかなり謎が多い。
「地球温暖化 人 息 とめる」なぜそこ? 止めるつもりなのか?
「ギャル なり方」清純派に見えるおとなしい妹がまさかギャルに……?
「スプーン曲げ 念力 特訓」ま、曲げたいのか……?

検索文字列は、基本単語を断片的に並べたもの。心の表現する文章ではない。だからこそ、残された文字から真意を汲み取る、推理要素のある作品としても読める。

たとえば「ギャル なり方」の場合、見た咲太郎は妹をギャルにはさせたくないと焦りを覚えてしまう。でもそんな唐突に、理由なしにギャルになるたがるはずはない。ある理由があって、彼女は「ギャル なり方」を検索する。そこを理解するのは、単語だけでは難しい。相手への理解と洞察力が必要だ。

最初は「よくわからない妹」を謎解くために履歴漁りをしていた咲太郎。次第に履歴の意味を理解するために、妹をよく観察する方向への努力をはじめる。あとは二人に「会話」が生じさえすれば、情報量のある言葉は得ることができる。履歴検索なんていらなくなっていくはずだ。

彼が履歴を見てしまうのは、妹を理解したい、仲良くなりたいと強く願っているからだ。そこは共感できるのだが、やっていることはさすがにまずい。本人も駄目だとはわかってはいても、やめられない、という感じ。

二人がコミュニケーションをとるよう一歩進んでほしいのだが、そうすると「妹りれき」なマンガでは無くなってしまう恐れもある。覗きと理解、スレスレのバランスを期待したい作品だ。

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