2019.05.02

【インタビュー】『アラタプライマル』及川大輔・村瀬克俊 ×「古生物学者」芝原暁彦 特別対談!

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古生物学者がオススメするアラタプライマルに登場させたいもの

──古生物の話で盛り上がっていますが、マンガの中に登場させたら面白いオススメの古生物っていますか?

芝原:そうですね、やはり恐鳥類の再登場を期待したいです。彼らの強さはあんなものじゃないですから! ぜひともリベンジの機会を与えていただきたい。

村瀬:やっぱり強いんですね、鳥。

及川:鳥の再登場、検討させていただきます(笑)

芝原:それと、今後はアラタたちが食料や脱出のヒントを求めて海などに行くこともあるかも知れませんので、メガロドン(古代に生息していたとされる大型のサメ)を登場させたら面白いかも。

村瀬:描きたいっすね〜、メガロドン。

芝原:メガロドンの化石はまだ、歯などしか見つかっていないんです。その歯の大きさから15〜20mの大きさだったと推定されていますが、もしかしたら歯だけが異様に大きいだけのサメだった可能性もある。

引用:『ああ、愛しき古生物たち ― 無念にも滅びてしまった彼ら』p.75 土屋健著、芝原暁彦監修、ACTOW絵(©笠倉出版社,2018年)

あとはオオナマケモノですかね。これに関しては完全な骨格が見つかっているため、古生物学者としてはオススメしたいですね。

──ナマケモノと聞くと弱そうですけど。

芝原:いや、1万年前頃まで生息していたとされるメガテリウムという大型のナマケモノは全長6m、推定体重3tを超える大型生物で、とにかくウエイトがハンパないんです。

引用:『ああ、愛しき古生物たち ― 無念にも滅びてしまった彼ら』p.87 土屋健著、芝原暁彦監修、ACTOW絵(©笠倉出版社,2018年)

及川:メガテリウム良いですよね〜。スミロドンをワンパンで倒していた説とかもあるらしく、強そうなんですよ。

ところで、原始人が乗っていたとされる動物って本当にいますかね? マンガではすでに登場してるんですが、アンドリューサルクス(史上最大の陸生肉食獣)みたいな……。

芝原:あれ、アンドリューサルクスだったんですか?

及川:いや、あれはアンドリューサルクスじゃないんですけど……似たような生物が進化して生き残っていたら良いなぁ、と思って描きました。

芝原:なるほど。そうですね……イノシシに近い形をした大型の哺乳類はいたかも知れません。

村瀬「いたらいいなぁ」とか「いてほしい」と思えるような古生物を登場させたいんです。本当にいたかもしれないし(笑)

芝原:ご迷惑じゃなければ、「こんな古生物の資料が欲しい」という要望があれば提供いたしますよ。模型とかモデリングしたデータとか。

及川:え、本当ですか!? やったぁ! ギガントピテクス(歴史上最大の霊長類)とか登場させたかったんですよね〜。

──芝原さんは今後の展開として、アラタがどんなサバイバル状態になることを期待しますか?

芝原:ありきたりですけど、「遭難」ですかね。なんらかの理由で、自衛隊とか拠点の建物から離れて遭難したら面白いんじゃないかと思います。

及川:あー、わかります。いかに「少人数で行動せざるをえない状況」をつくり出せるか、考えてます(笑)。自衛隊の銃の弾も早く切れて欲しいんですよね……。マンガ的にはピンチになった方が盛り上がるので。

村瀬:古生物の群れに襲撃されて、全弾撃ち尽くすとかね(笑)

──そういえば、芝原さんは過去に遭難してサバイバルの経験もあるとお聞きしました。

芝原:20年ほど前、調査中に山の上で大型の台風に巻き込まれて、トンネルの中で1週間ほどサバイバル生活を余儀なくされました。無線で助けを呼んだのですが諸々の事情で救助が来れず……。

村瀬:食料とかはどうしたんです?

芝原:袋入りのインスタントラーメンが1つ、ソーセージの缶詰が5つ、ペットボトルのトマトジュースが3本。台風なので水には困らないし、意外と大丈夫でしたね。ウドが生えている場所を事前に聞いていたので、いざとなればウドを食べて生き残れると考えていました。

及川:聞いてる分にはなかなかキツそうですが……。アラタたちがいる世界も食べ物などの資源自体は豊富にあるんです。これから、そういったサバイバルの描写が増えていくかと思います。

芝原食料調達はサバイバルの肝ですよね。原始時代はどんな食べ物があるかな……植物でいうとアケビとかキノコとかも食べていたかもしれません。ドングリの粉でパンを作って食べていたという記録もありますね。

村瀬:食べて美味しい生物っていたんですかね?

及川:今でいう豚とか牛とかニワトリのような肉質の生物はいなさそうですよね。

芝原:野生動物の肉は脂肪も少なくて硬そうですね。イノシシをさばいて食べたことがありますけど、まるで装甲のように頑丈な皮膚でした。生えている毛もまるでハリガネのような硬さで……。

村瀬:クマみたいな生物もいるのでしょうか?

芝原ホラアナグマがいたはずです。

及川:原始時代って「ホラ」ってつく名前の生物が多いですよね。ホラハイエナとかホラアナライオンとか。

芝原:ホラアナグマはヒグマと同じぐらいか、もしかしたらホッキョクグマぐらいの大きさだったかもしれません。アラタたちが食料調達に出かける場合は昼間に行くしかないと思いますが、実は早朝はクマが川にシャケを採りにくるので意外と危険なんですよ。

及川:仮にクマを倒せたとしたら何人分ぐらいの食料になりますかね?

芝原:ホラアナグマだとしたら300kg〜600kgの個体がいた可能性があるので、100人分ぐらいの肉は余裕でとれそうですね。美味しいかどうかはわかりませんが……。

──アラタが色んな古生物の肉や植物を食べまくる、原始グルメマンガみたいになったりして(笑)

芝原:マンガの今度の展開としてはやはり、アラタが動物を捕まえて食べるシーンなども出てくるのでしょうか?

村瀬:まさに。アラタはこれから持ち前のサバイバル能力が評価されて、少しづつ集団と打ち解けていくんです。最初の方は「近寄ると電子機器が壊れる特異体質」のせいで仲間からは不気味がられたりするのですが。

──アラタのキャラクターも特徴的ですよね。すごくポジティブだけど妙にカラ回りするところがあったり、空気が読めなくて周りから嫌われたり。自分ではそれに気がつかないという。

芝原:僕も読んでてついついアラタに感情移入しちゃうところがありました。人に気を使いすぎて嫌われたり、とか。

村瀬:そういえば、別の取材で研究者の方とお会いした時もアラタの気持ちがよくわかるって言われましたね。

及川:研究者に多いタイプなのかな? アラタみたいに何かに特化した人に多い特徴なのかも。

村瀬:コメント欄に読者の感想が寄せられるんですけど、アラタのキャラクターをリアルに描きすぎたせいか「読んでいて辛い」という意見も多かったんです。

及川:アラタと同じような悩みを持っている人が多いのかもしれませんね。

村瀬:刺さり過ぎてしまったのかな……。

及川:でも最近はアラタがちゃんと活躍し始めたからか、そういうコメントも少しづつ減ってきたよね。

芝原アラタがみんなに受け入れられていくストーリーだと思っていますので、今後も楽しみです。火をつける能力とか非常に高いサバイバル能力を持っていますよね、アラタは。

村瀬:余談ですけど、作画はほとんど僕が担当しているんですが、アラタが虫を撃退するためにファイヤースターターで火をつけるシーンは及川先生が描いているんですよ。

及川:とても細かいですけど、実際に火をつけるためにはナイフの角度とか重要なので。説明するのが難しく、僕が描きました。

芝原:火はものすごく重要ですもんね。よく「無人島に1つだけ持っていけるとしたら何を持っていく?」という問いがありますが、僕なら火打ち石の入ったライターを選びます。ガスが切れても、これなら簡単に火花を起こせるので。

もしも『アラタプライマル』の世界に入ってしまったら?

──最後になりますが、もしも芝原さんが『アラタプライマル』の世界に飛び込んでしまったら、どんな行動をとると思いますか?

芝原冷蔵庫は使えるんですかね?

食料の保存が優先されると思うんですけど、もし少しでも使わせてもらえるんだとしたら古生物の肉を保存したいですね。現代に持って帰ってゲノム解析をしたいので。

一同:(笑)

(※編集部注:ちなみにマンガの設定上では建物ごとタイムトリップしているという事情があるため、電気が通じておらず冷蔵庫は使えません。)

芝原:もし冷蔵庫が使えないとなったら腐るものはとりあえず置いておいて、爪とか歯とか毛皮とかをできるだけ集めたり、足跡などの痕跡を記録しますね。

村瀬:マンガの中でも完全に古生物学者として生きるんですね。

芝原:でもあのサバイバルの状況下なら、その前に武装を整えるかも知れません。自衛隊の弾もいつかは切れるので、クロスボウとか槍とかを作ったりするかな。マンガではすでに原始人と遭遇していますが、彼らに守ってもらうための策も考えないと。

──あの強かったスミロドンを槍の一撃で倒していましたよね、原始人。

及川:原始人たちはアトラトルという投槍器を使っている設定なんです。4万年前にあった武器とされています。

芝原:あの世界では圧倒的に原始人の方が力を持っているので、彼らに守ってもらえるだけの価値を提供しないといけないですよね。砂糖とか塩などの調味料や油とか。あの時代ならものすごく貴重な物なので、差し出してみたいですね。そんな妄想をしながら、この作品を楽しんでいます(笑)

──今後の展開が楽しみですね! みなさん、本日の対談ありがとうございました!

3人のサイン入り色紙を読者プレゼント!

今回の対談を記念して、及川先生・村瀬先生・芝原先生による直筆サイン入り色紙を限定1名様にプレゼントいたします!

下記の応募要項をご確認の上、どしどし応募くださいませ!

プレゼントキャンペーン応募要項

【賞品】
及川大輔先生・村瀬克俊先生・芝原暁彦先生の直筆サイン入り色紙を限定1名様にプレゼント

【応募期間】
2019年5月2日(木)~2019年5月16日(木)23:59まで

【応募方法】
以下の2点の手順にしたがい、ご応募ください。

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