2019.05.11
異種族女性客を相手に接客スキルでオトしまくる、異世界ホストクラブコメディ!『異世界とかよくわかんねーけどシャンパン入りました~~~!!!』わにのコロ輔【おすすめ漫画】
『異世界とかよくわかんねーけどシャンパン入りました~~~!!!』
本日は、コミックスマート社のWebマンガ雑誌「GANMA!」で連載中、その名もインパクト抜群な『異世界とかよくわかんねーけどシャンパン入りました~~~!!!』を紹介したい。
愛と欲望にギラつく夜の繁華街で女性たちの心をつかみ、トップホストの座にのし上がった男・レオ。ついに自分の店をもって荒稼ぎにはげんでいた彼は、景気づけにシャンパンタワーを敢行した際、ミラーボールに頭をぶつけてグラスの山に上から転落。次の瞬間、身体が謎の空間に沈み……気付くと、どことも知れぬ森のど真ん中にいた!
そこで人懐っこい小型ドラゴンのホップと知り合ったレオは、自分が地球ではない異世界へ迷い込んだことを教えられる。さいわい、異世界側から地球へ通じる道はちゃんと確保されており、すぐにでも戻れるという。
だが、そう聞かされたレオの心を占めるのは安心ではなかった。悔しさだ。なぜなら、この世界に飛ばされた直後、彼はホストとして大きな屈辱を味わっていたからだ。体長十数メートルはあろうかという女性を見かけ、得意の話術で口説こうとするもガン無視をくらったのである。
「…やだ 帰れない」「いいか? オレ様は最強のホストだぞ…」「このオレ様が狩れなかった女を野放しにして 帰れるワケね~~~~~だろ!!」
かくして、リベンジに燃えたレオは異世界にホストクラブを開設。エルフ、巨人、毛並みフサフサのケモノっ子など異種族の女性を相手に、持ち前の接客スキルをふるう大冒険(?)をくりひろげていく!
いわゆる異世界転移(or転生or召喚)ジャンルは「どんな世界に飛ばされるのか」という舞台仕立てだけが要点ではない。「どんな人間が」その世界に行って「どんな適応をするのか」という、ヒトに属する部分との掛け算でさまざまなバリエーションが生まれるものである。
本作の面白みはまさにそこにある。「ド金髪に派手スーツの超チャラいホストが、異世界に開いたホストクラブでファンタジーな女性たちを魅了すべく奮闘する」「いつでも地球に帰れるのに、自分のこわだりのためだけに居残り続ける」という、どこまでも我が道を行く造形がすがすがしいほどにパワフルかつ深い可笑しみを誘ってくる。
剣と盾で魔物を狩る戦士というファンタジー世界のジョブを、酒とトークでお客をオトすホストという仕事に置き換える着想は大変にユニークだ。
そしてここが重要なのだが、そういうホストがホストのノリのまま異世界に適応する図の面白さの中心に置かれているのは、「どんな女性を相手にしてもよく話を聞き、前向きな方向でよろこばせることに全力を尽くす」という、ホストならではの対人順応スキルの高さである。そこにはサービス業としてのホストの本然をしっかり描こうとする姿勢が感じられる。
題材に対して誠実、という作品の好例としても覚えておきたいマンガだ。
©わにのコロ輔/KADOKAWA