2019.12.06
ヘタレ男子が愛する相手の危機に直面してようやく恋に奮闘する、ド直球ラブストーリー!『君が死ぬまであと100日』右腹【おすすめ漫画】
『君が死ぬまであと100日』
右腹先生による、『君が死ぬまであと100日』の第1巻が発売されました。
ぼくには 生きものの余命が見える
「ぼくには 生きものの余命が見える」
幼なじみのうみに、人生4回目の告白をした太郎。やっと恋人になれた! とおもったら、うみの余命カウントダウンがはじまって……!? 残されたのはあと100日、余命を伸ばす唯一の方法は?? あまくせつない、もだキュンラブ♡開幕!
はい、というわけで、余命見える系のお話です。物語の主人公・太郎は、生きものの余命が見えてしまうという特殊体質の持ち主。ただ「余命が見える」と言っても、すべて見えるわけではなく、100日前からのカウントダウンしか見えません。
ずっと恋焦がれた幼なじみに告白をして、いよいよOKを貰ったとおもったら、その瞬間からカウントダウンがはじまり、焦るというストーリーです。
切なさよりも明るさ先行
余命が見える系って、抗うことのできない運命を前に、どのようにして想いを遂げて一生を閉じるか……という切なさとやるせなさに溢れた、しんみりとしたストーリーが多いと思うんですよ。でも本作、切なさは控えめで、むしろ纏うのはラブコメ的な明るい雰囲気。
その要因はふたつあって、まず一つ目は、ヒロインのうみが能天気の極みといった感じで底抜けに明るいポジティブモンスターだから。
100日後の死よりも、目の前のことに一生懸命というか、なんか全く死に直面している雰囲気がないんですよね。それに加えて太郎がテンパり系の泣き虫ゆえに、コメディ感が加速するという。
そしてもう一つが、なんと余命が減ったり増えたりするんですよ。これもう、なんでもアリですよね。余命が伸びる要因はよくわからないものの、どうやら太郎がうみをときめかせると、伸びるっぽい。なので、太郎が一生懸命あの手この手でときめかせようと頑張るのです。
余命が見えるという設定が印象として先行しがちですが、本作のベースは、ヘタレ男子が愛する相手の危機に直面して、ようやく恋に奮闘するという、ド直球のラブストーリーなんですよね。
頑張る男子を愛で、素直なヒロインを眩しがる作品
余命が伸びる一方で、突然余命が激減したりもするので、一時も気は抜けません。実際に残された時間はどれくらいなのか、うみがどういう時にときめいてくれるのか、分からないことだらけの中、ただただ一生懸命に、全然キャラじゃないのに恋愛を頑張る太郎の姿というのが、どこまでもキュート。
そしてそんな太郎を見守る、圧倒的光属性なうみの健やかさがただただ眩しくて、圧倒されます。
これから切なさ要素も増えてくる余地は充分ありますし、コミカルと切なさが同居する、不思議な味わいの一作となっていきそうです。
©右腹/集英社