2020.01.06
「一途で俺様な龍 × 強気な王の弟」が繰り広げる、名作異種間恋愛BL!『龍の夫 ―亡国の神― 』須嵜朱【おすすめ漫画】
『龍の夫 ―亡国の神― 』
タイトル通り、ズバリ「龍×人間」の異種間恋愛ものでございます。
異形である龍が、守護神という形で人との交流を持つお話です。
もともとの生き物としての成り立ち、姿かたち、持てる力、思考回路まで何もかもまったく人間とは違う龍という強大な生物が、あるひとりの女と出会ったことによって人間に興味を持ったのがすべての始まりでした。
その女の国を守護する神として奉られ続けてきた龍。彼は人間など虫ケラを潰すくらいの容易さで殺せてしまう力があるが故に、人間と交わりたくても触れ合うことすらままなりません。
そんな中、龍は国の守護を辞めると言い始めました。
龍の言葉が分かるのは王族だけなので、王の弟である軍隊長は龍の山に入り、龍と話をします。守護を続ける条件として龍が出したのが、隊長が龍の伴侶になることでした。王は弟にそんなことはさせられないと激昂しますが、周りの臣下たちはそれで話がおさまるなら国のために龍の元へ行ってくれと諸手を挙げて賛成します。
結局は国のため、兄の為に龍の伴侶となることを決め、龍の婿になります。龍は伴侶と決めた男に1枚しかない自らの逆鱗を埋め込み、自分の強い影響下において不死とし、彼を側に置きます。
身勝手な俺様なようで意外に情が厚く人間を気にしている龍と、異形の伴侶となりつつ強気な隊長はなかなか微笑ましく良いコンビでした。
彼らのやり取りはシリアスタッチな本編の中のオアシスです。意外なことに、龍は人間でいうところのベッドで裸の運動会的なことを伴侶に求めてはいませんでした。BLなのに!!!
龍は自分に寄り添って生きてくれる相手がただ欲しくて、その相手は幼い頃、自分を気遣ってくれた王の弟が良かっただけなのです。もう動機もやってることも可愛すぎて可愛すぎてキュン死しそうでした……。
一方の強気な隊長は、龍の力を与えられるために体液(たぶん唾液)で身体を包まれるとエッチな気持ちになってしまうようなんです。龍の体液、すごい媚薬効果です。そうなることがものすごく屈辱な隊長ですが、龍はもちろん、やめるつもりはまったくありません。
人と龍がどういう関係性でいくのか。
龍は真にこの国の守護神なのか。
いくつかの謎は最後に明らかになります。
王の弟としては必要とされなかった男ですが、軍の隊長としては部下からとても慕われていた彼。龍がこれまでより深く人間に接触してきたが為に、人間との関係性にも歪が生まれてきます。
この異種間恋愛が円満にまとまったのか。龍が守護していたと言われる国はどうなるのか。
ぜひぜひ、結末は読んで知っていただきたいなと思います。後味は悪いものじゃないのは自信を持って保証しますのでぜひ! 人外BLの名作です。
©須嵜朱/祥伝社