2020.02.27
【インタビュー】『この美術部には問題がある!』いみぎむる「宇佐美さんが赤面している顔は可愛い」
伊万莉まりあは、みずきの「ムムム!」の表情を引き出せる存在
──コレットさんはいかがでしょうか?
いみぎ:彼女は、状況を引っかき回すポジションとして登場させました。こういうボケ倒すタイプが大好きで、いてくれるだけで話を展開させやすい。もう絶対この子は、『この美』に必要なキャラですね。
──外見も金髪の外国人で背が低い、特徴的なデザインです。
いみぎ:夢子先生がナイスバディ、宇佐美さんが普通、コレットさんがちっちゃい。先ほどお話したキャラ同士のバランスを考えて、三タイプにした結果です。
──ちなみに飛び級なんですか?
いみぎ:いえいえ、ちゃんと中一ですよ!(笑)
──4巻から登場した伊万莉まりあ。宇佐美さんのライバル的存在なんでしょうか?
いみぎ:あまりライバルという位置づけではなくて、宇佐美さんが嫉妬するポジションの子です。
ののか先輩やゆりねさんと同じく、そのキャラが宇佐美さんにどんな変化を起こさせるのか、という起点でキャラクターを足していく自分ルールがあるんです。
──先ほどの内巻くんもそうですが、宇佐美さんありきでキャラクター造形が決まっているように感じるのですが。
いみぎ:『この美』は宇佐美さん中心の物語です。伊万莉さんが内巻くんと楽しそうにキャッキャする。その様子を宇佐美さんは「ムムム!」って軽くヤキモチを焼く、みたいな。
他のキャラでは、宇佐美さんの「ムムム!」の表情は出しづらいところがあります。そういう役割を担っているのが伊万莉さんですね。それに伊万莉さんはコレットさんと同様に、状況をかき混ぜるヒロインなので、僕の好みも大きく入っていると思います。
──部長もかなりの変人ですよね。
いみぎ:怠け者ですぐサボる。そんなだらしない部員が欲しくて着想しました。
本当はヒゲを生やして、どう見ても三、四十代の「絶対、中学生じゃない!」って見た目にしてもいいとさえ思っていたんですよ(笑)。
──コレットさんと年齢が近いとは思えなくなります(笑)。
いみぎ:部長は髪の毛を塗りつぶす黒ベタのシーンが多いのも、作者的には嬉しい点です。『この美』はページの中で黒ベタが少なくなりがちなので、部長が登場したら黒が増えて画面が締まるんです。
みずきも黒髪ですけど、ハイライトをいっぱい入れないとダメなんで、部長ほど黒くならないんですよね。「ありがとう部長!」って感謝しながら描いています(笑)。
描いていて楽しい……けど作者泣かせな夢子先生
──夢子先生については、ナイスバディが好みだとか?
いみぎ:それは正直あります(笑)。眉が太いのも個人的な趣味が出ていて、描いていて楽しいキャラが作中に欲しいんです! ただ夢子先生は描くのが嬉しい反面、メガネがすごいイヤでして……。
──メガネっ子属性はないんですか?
いみぎ:メガネっ子が嫌いではないんですよ。ただ作画でメガネを描くのが大変なんです。「俺はなんでメガネをかけさせてしまったんだろう……」って、締め切り間際で頻繁に後悔します。
(一同笑)
いみぎ:髪の毛のフワフワっとしたシルエットも描きづらいんですよねー、そこにメガネも相まって……(笑)。描くのが楽しい反面、トータルで見ると作者泣かせなキャラかもしれないですね。
──10巻から、すばるのお姉さん・内巻ゆりねが登場しました。彼女のキャラ造形を伺えれば。
いみぎ:内巻くんの家庭は今まで触れられてきませんでした。そこで、ゆりねが登場することで内巻家の話を膨らませることができます。
さらに弟(内巻すばる)の背中を押せるポジションとして、内巻くん側から宇佐美さんの恋を応援させられるんですよ。
いみぎ:そこが、ののか先輩とは違うポジションなんです。ののか先輩は部長が好きで、めげずに果敢にアタックしています。そんな姿を見て、「私もあれくらい攻められたらいいのにな」って宇佐美さんの背中を押せるのが、ののか先輩のポジション。
その逆に、ゆりねの立ち位置からだと、弟のすばるに吹き込めるんですよ。役割的にはそういう違いがあります。
──外見も、美人のお姉さんでグッときます。
いみぎ:……実は二回目に登場した時点で、急激に胸がデカくなってます(笑)。これはちょっと、癖(ヘキ)が出たかもしれないですね。もともとゆりねが初登場した回が、かなり変則的だったんですよ。
浅川:10巻の62作品目で、いきなり「何の漫画だ?」みたいな高校編が始まるっていう(笑)。
いみぎ:ゆりねはビジュアル的にも好きな要素を詰め込んでいて、単行本の4コマ漫画で描き下ろししているくらい気に入ってます。
©いみぎむる/KADOKAWA