2020.06.08
同い年同士の再会ラブ。両片思いが成就するのに10年かかった、気長で切ないBL!『十年後にあがった、あの日の雨。』幸田みう【おすすめ漫画】
『十年後にあがった、あの日の雨。』
同い年同士の再会ラブです。
焼け木杭に火が付いたというか、そもそも最初からお互いしっかり好きで両思いだったのに、それをお互いに伝え合うのに10年かかっちゃったという典型的な両片思いものでした。高校時代に一度体を重ねて、喧嘩したわけでもないというのに、どちらからも踏み込めずにそこから10年ですからなかなかです。
再会したのは同級生の結婚式のパーティー。2人とも──マサも鳴海もいい社会人です。よくあるパターンすぎますが、これはマサが何とか仕組んだタイミングでした。
受攻どちらかがヘタレで伝えるべきことを伝えられずにズルズル話がこじれたり、関係が進まなかったりすることは多々ありますが、こちらは両方ともヘタレすぎたために、話を進めるのに必要な時間が10年になってしまいました。お互いがそれぞれ相手を意識して実際に体まで重ねたのにも関わらず!
気持ちを伝え合うのに要した時間が10年です。
ずっと好きだったなら! せめて3年くらいで行動に移そうよ!!!
人間、寿命が延びたといってもたかが80年ちょいなんですから、時間は有効に使っていただきたいと思います。
明るいクラスの人気者と、その人気者にあこがれる地味系男子という、BLでは割とよくある組み合わせなんですが、攻に必要なアグレッシブさがマサには足りなさ過ぎました。自分の母親が何人もの男に見捨てられていくのを横で眺めていたせいで、去ってしまうかもしれない相手に追いすがることへの恐怖が強かったのです。ほとんどトラウマですね。
高校時代、お互いがそれぞれ相手をどんなふうに眺めていたのかが交互に描写され、絡み合いつつも上手くかみ合わないまま、気持ちだけはしっかりお互いを向いているのが妙に印象的で、切ない気持ちにさせられます。
相当時間はかかりましたが、マサが踏み出した一歩によって気持ちが通じ合って本当に良かったと思います。10年越しに出来上がったカップル、末永く幸せに、我々を萌えさせてほしいものです。
切ない系の再会ラブと聞いてキュンとなる方には全力でおすすめしたい作品です。読みながらもどかしさに見悶えていただきたいと思います!
©幸田みう/大洋図書