2020.07.20
スランプ中の天才ヴァイオリニスト×クラシックおたくの潔癖症青年。センシティブでじんわり心に沁み渡る良作!『僕のミューズ』かつらぎ【おすすめ漫画】
『僕のミューズ』
音楽ものBLです。
BL界の音楽ものといえばフジミシリーズが真っ先に思い浮かぶ古の腐女子なので、ヴァイオリンを弾いている青年の表紙にキュンとなって即ゲットしました。ジャンルとしてはセンシティブラブになるかと思います。
カップリングは、「失恋してスランプ中の天才ヴァイオリニスト×クラシックおたくの潔癖症青年」ということで、奔放なヴァイオリニスト・律が攻です。
彼はドイツを拠点に音楽活動をしていたのですが、失恋してスランプに陥り、友人のピアニストの勧めで日本にいる彼の弟・清春と同居生活を送ることになります。
突然、子供のころからずっと好きだった天才を家に送り込まれた弟は、たぶん3年くらい寿命が縮んだのではないでしょうか。しかもただのリハビリを兼ねた日本生活の拠点、というだけでは済まず、突然告白され、口説かれ始めてしまいます。
律のこれまでの相手はどうも女性ばかりで、男は初めてなようですが、本当に唐突に恋に落ちてくれまして、葛藤も何もあったものではなく即告白。気づいた時には両片思いっぽい状況になっていました。思い切りが良すぎてビックリでしたね……。
清春は潔癖症の傾向があって、前の恋人とはそれが原因で別れており、一方の律は、熱心すぎるマネージャーによって恋人を排除されてきたという過去があります。波風が立たなければ清春はじっくり律から向けられた気持ちを咀嚼して自分の中で答えを出せたのだと思うのですが、今回の恋の障害物である律のマネージャーに別れを求められたことで、お話の展開にターボがかかります。
ふたりの恋路は律のマネージャーにかなり翻弄されてしまいます。それでも、案外タフだった清春は、自分の気持ちをきっちり整理して自覚した後は、妨害をものともせず律に気持ちを伝えに行きます。かえってマネージャーの妨害が二人の関係を推し進めたんじゃないか、みたいな結果になってしまいました。
律は無事にスランプから脱して演奏三昧生活に戻り、清春はそんな律に仕事の合間にドイツまで恋人に会いに行くようになります。
カップルのどちらもわりと安定したキャラだったので、危うげなく楽しめる作品になっているのではないでしょうか。肌色シーンはかなり控えめで、足りないところは妄想で補いましょう。じんわり楽しめる良作でした!
©かつらぎ/徳間書店