2020.09.04

【インタビュー】『ようこそ! アニマル連邦』あべまん「ジョークで済まない内容は描かない。あくまでギャグマンガ家でありたい」

アニマル連邦』は、かわいいキャラクターがおりなすちょっと危ない群像劇。スナック感覚でブラックジョークが愉しめる作品として、ディープなファンを獲得しています。


書籍版『ようこそ! アニマル連邦』書影

作者のTwitterアカウントで連載されている本作は、これまでに累計2億PVを突破。2020年6月には単行本も発売された他、「WEBマンガ総選挙2020」へのノミネートも決定しました。今回は、そんな『アニマル連邦』の作者・あべまん先生に秘密裏にインタビューを敢行し、お話を伺いました!

(取材・文:コミスペ! 編集部 / 編集:ましろ

実体験が元になったエピソードも……?

──本日はよろしくお願いします。まずは、『アニマル連邦』を描き始めたきっかけを伺えますでしょうか。

あべまん先生(以下、あべまん):もともとTwitter上にイラストやマンガを投稿していたのですが、昨年の秋ごろに某マンガのパロディを載せたところ、多くの反響をいただきました。

しかしパロディマンガという性質上、本家作品のファンには快く思われない方もいるのではないかと感じ、同様のテイストでオリジナルの作品を描こう! と思い立ち描き始めたのが『アニマル連邦』です。

パロディマンガのほうについては、友人間での身内ネタを描いたものであり、また想像以上の拡散による本家様への影響を鑑みて、最終的に自主削除させていただきました。

──本作の舞台である「アニマル連邦」は、ソ連・ロシアをモチーフにした架空の国家です。日本人にとって遠い国というイメージがあるのですが、なぜ題材にしたのですか?

あべまんかわいらしいキャラクターとギャップのある話にしたいと考えていました。完全なファンタジー世界で進める案もありましたが、実在する事件や話題を盛り込んだ生々しさも出したかったため、ベースとなる国を決めようという流れになりました。その際に候補として上がったのが、ソ連や旧ドイツです。

どちらも良くも悪くも非常に有名であり、キャラクターとのギャップを感じさせるにはピッタリだと思いました。最終的にソ連を題材に選んだのは、共産主義に傾倒した友人が身近にいたのが主な理由ですね。

──(その友人についてはノーコメント)かわいい顔してヤバイやつなウサルノフとネコライは、どのように生まれたのでしょうか。

あべまん:ウサギとネコをモチーフとしたのは、シルエットで何の動物かがわかりやすいからですね。

ほとんどのキャラクター名はロシアの人名辞典を見て考えているのですが、ウサルノフに関しては前職で付き合いのあったロシア人の方の名前を元にしています。非常に天真爛漫で、それ以上に非常にヤバイ方でした

──ヤバイというと、どのくらい……?

あべまん:あくまで仕事上だけの付き合いだったためプライベートを共にしたことはありませんでしたが、女癖が非常に悪かったり、立ち寄ったクラブでいざこざを起こしたりするのも日常茶飯事だったそうです。

自分が以前勤めていた職場は数名でグループになって持ち場につく形態だったのですが、その際に彼が言っていた「このグループの女の子はみんな頂きました」という発言は衝撃でしたね。

──ちなみに、あべまん先生はネコライとウサルノフどちらに近いですか?

あべまん:強いて選ぶのであればネコライかもしれませんね。ウサルノフのような自由奔放でメチャクチャする人は大好きです。

──『アニマル連邦』のネタには実話も含まれているんでしょうか。

あべまん:一部、実体験から取り入れているエピソードもあります。どれがそうなのかは言いづらいですが、風俗関連の回や、ディープ・ウェブの話などは実体験が元になっています。

その他、ロシアに限らず印象に残ったニュースや、様々な資料を読んでアイデアを膨らませることも多いです。

ブラック”ジョーク”で済まない内容は描かない

──単行本化のオファーが来たのはいつですか?

あべまん:今年の頭ごろになります。画像サイズの調整や、セリフ・効果音の位置調整、細かな作画ミスの修正、カラー化に描き下ろしなどなど……。初めての単行本作業ということもあり、非常に慌ただしい半年となりました。

──単行本には過激な表現もほぼ無修正で収録されていると思いますが、修正を余儀なくされたエピソードはありましたか?

あべまん:自分もそこを一番心配していたのですが、内容そのものの変更は一切ありませんでした。単行本に載っていないエピソードはページ数の都合上省いてあるのがほとんどなので、次巻が発売されれば収録できると思います。

──ファンからの反響が大きかったエピソード、あべまん先生自身がお気に入りのエピソードをそれぞれ教えてください。

あべまん『お悩み相談(裏)』『反省』『騒音(裏)』あたりのシリアスな雰囲気のエピソードは人気があったと思います。

中でも兄弟愛のエピソードは特に反響がありました。普段メチャクチャやってるぶん、各キャラクターの心境を掘り下げるタイプのエピソードは描いてる側としても楽しいですね。

↓続きはTwitterで!

個人的に好きな回は発表会です。爆発したり露骨に死亡したりするオチも好きですが、ひっそりとシュールなオチが個人的にはツボです。

──暴力、ドラッグなどあらゆる違法行為が描かれているのが本作の面白さでもありますが、「これだけは描かない」といった線引きはありますか?

あべまん:一概には言えませんが、ブラック”ジョーク”で済まないような内容は描かないようにしています。あまりにも支離滅裂で意味不明だったり、嫌悪感が強すぎる内容とかですね。

そういうのはいくぜ!!イク男くんのほうで描くようにしています。あっちは何でもアリなので。

──Twitterアカウントを運営する上で意識していることはありますか?

あべまん肯定・否定が人によって大きく分かれる話題は出さないように心がけています。こんな内容のマンガを描いてる人間が言えたことではないかもしれませんが……、

政治や社会情勢に関する発言などは深く意見が分かれる部分になってきますので、そこには触れないようにしています。また、極力ネガティブな発言も避けるようにしています。あくまで”ギャグマンガ家”らしい朗らかなイメージでいたいと思っています

いつでも、何度読んでも楽しめるマンガを描いていきたい

──マンガを描き始めたのはいつごろからですか?

あべまん:意識してイラストやマンガを描き始めたのは中学生くらいのころです。ろくに授業も聞かずにイラストを描いては友人に見せて楽しんでいました。

昔から絵を描くことが趣味だったため、その延長線上で今のマンガ家としての活動があります。

──息抜きの方法は何ですか?

あべまん:ドライブやツーリング、ゲームをすることが多いです。

車やバイクが大好きなので、しょっちゅう乗り回しています。ふと思い立って県外へ走り出し、3日ほど知らない土地を満喫することもよくありました。現在の愛車は「レガシィB4 BE5」と「Ninja250SE」です。

ゲームに関してはあまり選り好みをしないので、Steamなどで買い漁っては手当り次第プレイしています。

──ご自身の作風に影響を受けたと思うマンガはありますか?

あべまん:子どものころは、もっぱらギャグマンガばかり読んでいました。臼井儀人先生の『クレヨンしんちゃん』うすた京介先生の『すごいよ!!マサルさん』川口憲吾先生の『脳みそプルン!』野中英次先生の『魁!!クロマティ高校』など……。

気軽に読めて思い切り笑えるマンガや、シュールで時に不穏な一面を見せるマンガが昔からとても好きだったので、今の自分の作風にかなり影響を受けていると思います。

自分も描く側になって、どれだけ先生方が苦労して作品を創り上げていたのかを痛感するようになりました。いつでも、何度読んでも楽しめる、そんなマンガを描いていきたいですね。

──現在おすすめのマンガは何ですか?

あべまん: 今はつくしあきひと先生の『メイドインアビス』にハマっています。

先ほど挙げたようなギャグ系の作品ではありませんが、非常に練られた設定と魅力的なキャラクターデザイン、そこに差し込まれるダークでリアリティのある描写など、とても惹き込まれる内容になっています。これから物語がどのように展開していくのか楽しみです。

──『アニマル連邦』は「WEBマンガ総選挙2020」にもノミネートされました。今の率直な気持ちをお聞かせください。

あべまん:マンガの内容にかなり際どい表現が多いため、「ノミネートはされないだろうけど記念にエントリーしておこうかな」といった心持ちでした。そのため、今回ノミネートされたことに驚きましたが、非常に嬉しく思っています。

『アニマル連邦』に投票する

このようなイベントに参加するのは初めてなので、トップ10入りできるかどうかはわかりませんが、推薦していただいた方々の期待を裏切らないよう精一杯走らせていただきます。

もし上位になりましたら、皆様が待ち望んでいる特別な電○書○の配信を予定しています。また、絶対にあり得ないと言われているア○○化と、コラボ○○ェも実現する予定です。

──最後に、「アニ連」の今後の展開についてもお聞かせください。

あべまん:現在発売中の単行本以外にも、グッズ化などの新しいお知らせを近々できるかと思います。ご期待ください。

今後の夢や目標は……、実写映画化なんて面白そうですね。雑なVFXなどが使われていると尚良し。ハリウッドからのオファーを待っています。ウサルノフ役はアレクサンドル・ペトロフさんなど、ロシア人俳優を起用していただけると嬉しい限りです。

最後になりますが、読者の皆様、これからも何卒よろしくお願いいたします!

──ありがとうございました!

作品情報

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サイン入りミニ色紙を読者プレゼント!

今回のインタビューの実施を記念して、あべまん先生の直筆サイン入りミニ色紙を1名様にプレゼントいたします!

下記の応募要項をご確認の上、どしどし応募くださいませ!

プレゼントキャンペーン応募要項

【賞品】
あべまん先生の直筆サイン入りミニ色紙1名様にプレゼント

【応募期間】
2020年9月2日(水)~2020年10月2日(金)23:59まで

【応募方法】
以下の2点の手順にしたがい、ご応募ください。

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②公式アカウントよりツイートされた以下のプレゼント情報を、「#アニマル連邦プレ」ハッシュタグを付けて、コメント付きリツイート

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厳正なる抽選の上、当選者様のTwitterアカウントへDM(ダイレクトメッセージ)にてご連絡いたします。

その後、当選者様には【住所・氏名・お電話番号】をご連絡いただくことになります。プレゼントの配送に必要な情報となりますので、ご協力を宜しくお願い致します。

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・当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
・当選に漏れてしまった方へのご連絡は致しません。あらかじめご了承ください。
・賞品発送時の紛失につきましては対応いたしかねますのでご注意ください。
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