2020.10.09
歳の差のある、3組6人の幼なじみ男女の恋愛模様を描いたピュアラブストーリー!『隣のきみに近づきたい』浅岡とわ【おすすめ漫画】
『隣のきみに近づきたい』
浅岡とわ先生による、『隣のきみに近づきたい』が発売されました。
”幼なじみ”というとなんとなく同い年の男女なんてものを勝手に想像してしまいますが、実際は同性の場合もあれば、確率的には歳が離れていることも全然ありえるわけで。
本作はそんな、歳の差のある幼なじみの男女を描いたラブストーリーとなっています。
歳の差幼なじみ男女3組
描かれるのは3組の男女。6歳差、社会人と女子高生のお隣さん同士。4歳差、大学2年生と女子高生のご近所さん同士。2歳差、同じ高校に通う先輩と後輩。
どの組み合わせも、男子側が年上なのは作者さんの性癖的なアレでしょうか(勘繰り)。いや、「幼なじみのお兄さん」、これ少女マンガでは鉄板ですから、もうこの時点で間違いがありません。
そして2歳ずつ段差をつけていくと、相手は高校生から大学生になり、さらには社会人にまでバリエーションが広がるわけで、1冊ながら歳の差幼なじみのシチュエーションを余すことなく堪能することができるようになっております。
距離が近すぎるから、年齢が遠いから。
「歳の差」と「幼なじみ」が融合すると、恋に発展するまでの障壁も2つに。
一つはお約束、距離が近すぎるがゆえに、なかなか恋愛に発展しないパターン。そして歳の差が大きくなると、そもそも年齢的に恋愛対象外になっちゃうっていうアレですよ。
高校生同士ならまだしも、高校生と大学生って、高校生からしたら天と地ほどの差を感じたものです。それが社会人になっちゃうと、もうなんか範囲外すぎてよくわかんないですよね。
それもあってか、描かれる恋模様はかなり慎ましやかというか、おとなしく、そしてどこまでもプラトニック。今までの積み重ねがあるがゆえに踏み越えられず躊躇する様子や、それでも抑えきれずに勇気を振り絞って想いを伝える勇敢さとか、そういう正攻法ゆえの清々しさがストレートに心に突き刺さってきます。
『ホンノウスイッチ』みたいに、一気に飛び越えて体の関係……みたいなのも好きですけれど、やっぱり好きですね、こういうピュアなやつ。
とにかくピュア
個人的に最も好きだったカップリングは2歳差の高校生同士のやつ。美男美女でまず絵面が好き。
ずっと恋心を抱いてきたけれど、それを明かすことなく来たお兄ちゃんに対して、プロレスが大好きで恋愛とは無縁のお転婆娘の奔放さが対照的。3組の中では唯一、男子側・年上側が先に好いてるってパターンなんですけど、年上男子が年下の幼なじみが好きで、ぐるぐる思い悩んだりする様子ってなんか良くないですか。年上なんですけど、可愛らしいんですよね。
久しぶりにこんなピュアでプラトニックな恋愛ものを読んだ気がします。派手ではないけれど、すぐそばにある関係を大切に噛みしめて、すっと心に沁みてくるような良作でございます。
©浅岡とわ/一迅社