コミスペ!

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2018.04.06

【まとめ】徐々に沼にハメよう。まずはオススメしたい初心者用BL作品

未だにあの瞬間を覚えている。

心寄せていた男の子に「腐女子なの?」と聞かれた日のことを。そして「やっぱり家にBLマンガとかあるの?」と聞かれたことを。

貸してというから自分が一番気に入っているマンガを貸したら、「やっぱ、ごめん。気持ち悪かったわ」と言われて返されたことを。
その後音信は途絶えた。

高校生の頃の話である。あのとき私の周りにはBLを読んだときの「萌え」を共有できる仲間が少なかった。そこに好きな男の子から興味を寄せられるとなったら舞い上がるに決まっている。

舞い上がったまま、貸して、拒絶され、後悔した。
なんで、もっとライトなものからハメていかなかったのだろうか、と。

まずはエロ濃度の低いライト作品をセレクトするのが良し

というわけで、今回はそんな切ない思いをする人間を減らすべく、BL好きの仲間を増やしたい世の腐女子・腐男子の皆様に向けて、BL入門として個人的にオススメな作品を集めてみた。

中には過去に付き合っていた恋人に貸してみたものもある(もちろん反応が良かったものを選んでいる。)

難しいのは、BL作品を読むとき、「エロが欲しい」という目的がメインになりやすいことである。実際、様々なレビューでは「どれだけエロかったか」というのが評価の基準になる作品もある。というか、多い。

特にBL作品のセックスシーンはだいぶ過激なものが多い。最初にアブノーマルなプレイにたじろいでしまうと、他の作品を手に取るのも躊躇してしまうだろう。今回はセックスシーンに頼らない、ストーリーとして面白さが確立されている作品をメインに選んでみたので、刺激を強める前の一冊として参考にしてみてほしい。

ただし、当たり前だが、BL作品に抵抗のある人に無理やり勧めるのは絶対にNGだ。これは腐っている以前に、人間としてのモラルの問題である。

『ガンバレ!中村くん!!』

80年代を彷彿とさせるレトロな絵柄にとポップなカラー。一般的なBL作品の表紙の中で異質を放つのがこの作品だ。

主人公の中村くんが同級生の広瀬くんに一目惚れし、空回りする姿に笑ったりほのぼのしたりするラブコメである。
エロ濃度はだいぶ低い。そもそも、1巻では手もつながない。連載中の作品なので、これからどれだけ関係性が深まっていくかは不明。

いずれにしても1巻はセックスシーンもなく、いわゆるギャグマンガテイストで物語としても面白いので腐っていなくても楽しめる。

「そもそも最近のマンガはよく知らなくて……最後に読んだのは『らんま1/2』なんて人がいれば勧めたい一冊。

『さんかく窓の外側は夜』

BLだけにとどまらず、様々なジャンルで作品を描き人気を集める作家も多くいる。
その中でもヤマシタトモコ作品は、多少読む人を選ぶが、普段見ないふりをしている“自分の弱いところ”“コンプレックス”などに真っ向から切り込むような描写が多く、心ゆさぶられるエッジの効いた作品ばかりだ。

『さんかく窓の外側は夜』は、霊感のある書店員の三角が霊媒師の冷川に見出され、無理やりコンビを組まされ除霊に付き合わされる霊感エンタメだ。男性コンビで、除霊の際の描写などに“セックス”を彷彿とさせるものはあるが、いわゆるBL作品とは少し違う(恋愛感情的なものが、現時点ではゼロだ)。

果たしてこの作品をBLと呼んでいいのかは微妙だ。ただ、男性同士の”セックス的な”シーン(あくまで”的な”である)がネタになっているので、男性が感じる姿を見てグッとくるかどうかを知ることができる一冊ではある。
あと、シンプルにホラー要素が強く、普通にけっこう怖い。

『不安の種』とか超好き〜」みたいな人にお勧めしたい作品だ。

『boy meets “crazy” girl』

ボーイミーツガールだと思って読むと、最後に2作品ほどボーイミーツボーイが含まれている短編集である。
というか、ガールミーツガールも含まれており、もはやBLやGL、NLといった区分をするのが無粋だと思えるほどに、人間のクレイジーな部分を見事に描いたジャンルレスな作品である。BL要素もだいぶ薄い。

セックスよりも男性同士の出会いや関係性の面白さを知ることができるという点で、最初の一冊に選んでみるのはいいかもしれない。

「宮崎夏次系とか浅野いにおとか好き!」みたいなビレバン系の人にはいずれにしてもハマる一冊だろう。

『10DANCE』

この作品は圧倒的な画力によって描かれる、シンプルに面白い競技ダンスマンガである。
BLだからという点だけで読まないのはもったいないくらいに完成度が高く、競技ダンスに興味のある人にはぜひお勧めしたい。

筋肉隆々の美しい肉体をもつ男性が二人で踊る姿は、正直セックスシーンよりも妖艶でエロいかもしれない。一方で恋愛模様に関してはとっても進行がゆっくりだ。3巻時点でキスまで。

「『ユーリ!!! on ICE』めっちゃ面白かったわ」なんて人は100%素質があるので(彼らもキスしてたし)、ここらへんで男同士のより濃密なキスを知ってみるのもいいかもしれない。

『僕らの食卓』

「子ども」が現れると和むのは、リアルでも二次元でも同じだ。

誰かと食事をするのが苦手な会社員の豊は、ある日公園で一人お昼ごはんを食べているときに歳の離れた兄弟の穣と種に出会う。二人は一昨年母親を亡くし、譲は仕事で忙しい父親の代わりに、大学を休学して4歳の豊の面倒を見ていた。そんな中、弟の種が豊の作ったおにぎりを気に入ってしまい、なぜか豊が穣に「おにぎりの作り方」を教えることに。次第に食事をする機会が増え、豊と穣の仲が深まっていく。

子どもが架け橋となり、二人の男性が食事を通して仲を深めていく。シンプルで暖かいストーリー、エロはほぼ無し。二人のじれったい関係はもちろん、とにかく種くんがかわいい。ひとつひとつのセリフも良く、読後感が素晴らしい一冊だ。

グルメ系の作品でゲイカップルといえば『きのう何食べた?』もあるが、よりBL要素の強い一冊としてこちらを選んでみた。
『flat』に癒されたことがある人にはよりオススメである。

『同級生』

映画化もされているので、BL作品の中でも知名度が高い作品だろう。優等生で大人しい佐条利人と友達も多くイケイケな草壁光が、合唱会前にひょんなことから距離を縮め、恋に落ちていく。
高校時代の青春を描いたボーイズラブの名作である。

中村明日美子作品は他にも『ダブルミンツ』が実写化されている。ただしそちらは少し過激で直接的な描写が多いので、一番最初はこちらの作品で感触を試してみるのが良いだろう。

高校生二人の恋愛をゆっくりと描くこの作品は、続く『卒業生』でだんだんとセックスを覚えていく。探り探り関係性を深めていく様子がこの作品の最大の魅力だろう。
もどかしくてくすぐったい、それでいて心地いい。初恋の甘酸っぱいときめきが、美しい流れるような線で見事に描かれていく。

圧倒的な画力にうっとりしながら、新しい扉が開く瞬間である。

中村明日美子の作品は独特の絵柄でもあるので、ハマる人はずっぷりとハマる。まずは『鉄道少女漫画』などほのぼのとした作品を貸してみて、反応が良ければこちらの一冊を勧めてみたい。



BL作品には、お腹を抱えて笑うものもあれば、心臓をギュッと掴まれるくらいに切ないものも、感動で涙が止まらない素晴らしい作品もたくさんある(ただし、大切なことなので何度も繰り返すが、無理やり勧めるのはNGである)。

性癖の壁をひとつ超えれば、そこには多様で奥深い世界が広がっている。そんな楽園のようなジャンルの中で萌えを共有できる仲間が増えるのは、やっぱり嬉しい。

今回紹介したうちのどれかが、そんなきっかけの一冊になれば幸いだ。

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