2021.05.31
人外になった幼馴染との再会ラブ。攻の突っ走りっぷりが凄い、ある意味執着系なBL作品!『片破れ月 恋々として』直野儚羅【おすすめ漫画】
『片破れ月 恋々として』
人外になった幼馴染との再会ラブです。表紙から人外感が溢れておりますが、この人外、人畜無害どころか人を食らう系の人外です。
「好きすぎて食べちゃいたい」が比喩じゃないというか物理。あまり詳しい世界設定は説明されていないのですが、とにかく真の幼馴染は昔、突然姿を消して20年以上たってからまた戻ってきたということです。
カップリングは、「幼馴染に執着する人外×天涯孤独なパン屋」となっており、カムバックした幼馴染で人外の明は、真の仕事を手伝いながら同居するなり、毎晩のように「家族になってくれ」といいながら真を押し倒します。
種類的にはヴァンパイアみたいに仲間を増やすタイプだったようで、なんと真は知らないうちに人外の仲間入りさせられてしまいます。
え、そこはちゃんと同意を得てからにしよう!??? と読みながらドン引きしてしまったんですが、やられちゃったご本人は思ったほどショックを受けることなく(といってもなかなかの衝撃だったようですが)人間やめさせられちゃった現実を受け入れていました。
突然、訳の分からない二足歩行の化け物に襲い掛かられて食われそうになったり、あっという間に傷が治るようになっていたり、人外になっちゃった上に「赤目」という子供が産める特殊タイプに変化していたりと、肉体は耐えられてもメンタル崩壊しませんか……みたいな状況です。
明は真にものすごく執着しているんですが、物事には順序というものがあるんですよと正座させてこんこんと言い諭したい展開が続きます。真はなんだかんだ言っておおらかに許していますが、そのこと自体がもはや奇跡です。
人外の同族たちがポツポツ出てくるのですが、あまり深い関りにはなりません、ただし物理的に深い傷を双方が追うことが多く、なんとも血の気の多い種族です。こんな直情径行型の個体が多い種族が、よく人間にバレずに勢力入れ替えるところまでもっていけたなとビビるレベルです。
BL的には攻の方が小柄の体格差ものなのと、サブのカップルがかなりの年下攻かつ体格差ありという珍しい組み合わせです。肌色シーンもけっこうしっかりありますが、恋人というより家族を求めている感じが強く、恋愛すっ飛ばして結婚したがる攻たち、みたいな印象が強かったです。
キュンキュンする前に「ちょっと待って落ち着いて、深呼吸して相手の都合も考えてあげて!!!?」となる人外ものでした。萌えの毛色の違う作品で楽しめるかと思います!
©直野儚羅/竹書房