2021.06.07
「駆け出しのプレイボーイな小説家」と「皮肉屋の美青年」の別れと出会いを描いた、静かでドラマチックな切ない系BL。『ブライトブルーに沈む』ぱるあ【おすすめ漫画】
『ブライトブルーに沈む』
ノスタルジックで切ないBLです。映画を見ているようなストーリーで、静かでドラマチックな展開の作品でした。
カップリングは、「駆け出しのプレイボーイな小説家×皮肉屋の美青年」となっております。
避暑地でのホームステイ先で、駆け出し小説家のネッドは、姉思いの美しい青年にどうしようもなく惹かれていきます。アルの姉・マギーは持病があるのですが、明るく朗らかに良く働き、ネッドをもてなしてくれます。
アルは最初、「マギーに指いっぽんでも触れてみろ、沈めるぞ」とけん制していましたが、あいにく、惚れられたのも触れたいと思われているのも姉ではなく弟のあなたです!!!
厳しすぎる父親に抑圧され、最終的には見放されるという、ちょっと健全とはいいがたい家庭環境で育ったネッドは、1年に一度だけ訪れるこの避暑地で、美しい青年への思いを深めていくのでした。しかしその気持ちを本人に言葉にして伝えることはできず、3度目の逢瀬でマギーの体調が悪化し、アルとマギーが都市部に移ると決まったことによってこの恋は終わりを迎えます。
この時にはお互いが惹かれ合っており、しかし一緒にはいられない。ネッドは母と約束した自由時間が終わって決められた相手と結婚せねばならず、アルは姉と共に思い出の場所を離れます。それでも何もないまま別れることはできず、お互いへの気持ちは口にしないまま肌を合わせます。言葉には出せなくても気持ちは繋がっていて、それでも2人は別れます。
やがてネッドは小説が認められ、しかし結婚した相手とは色々あって円満に離婚に至り、そしてネッドの街にやってきたアルと再会を果たします。最終的には再会して両想いになってハッピーエンドという流れなのですが、お話のその流れがとても素敵です。全体的に粗目の絵柄なのですが、読んでいるとそれすら作品の雰囲気を引き立てているように見えてくるのです。しっとりと切ないラブストーリーとして心に沁みるお話です。
ものすごく痛いとか悲しいという振れ幅の激しさはないのですが、強く印象に残ります。切ない系が好きな方にはとてもおすすめできるBLでした。
©ぱるあ/Jパブリッシング