2021.10.31
戦隊ヒーローのレッドが異世界転生して冒険者に!?ジャンル合体ヒロイックファンタジー!『戦隊レッド 異世界で冒険者になる』中吉虎吉【おすすめ漫画】
『戦隊レッド 異世界で冒険者になる』
本日のピックアップはこちら。雑誌「月刊少年ガンガン」連載、Webでは「ガンガンONLINE」にて配信中のジャンル合体ヒロイックファンタジー『戦隊レッド 異世界で冒険者になる』だ。
地球の平和を守るため、驚異的な機能を備えたガジェットを駆使して悪の勢力に立ち向かう戦士たちの一隊。勇気と正義の使者たる彼らを、我々は戦隊ヒーローと呼ぶ。
ある時、一組の戦隊が最終決戦に臨んでいた。
激しい戦いのなか、戦隊メンバーのひとり「キズナレッド」こと主人公・浅垣灯悟(あさがきとうご)は全力を注いだ必殺技を放ってラスボスを撃破。しかし自らも命を使い果たしてしまう。
相打ちの戦死……と思われたその時、不思議なことが起こった。
ハッと目覚めると、見知らぬ土地に放り出されていた灯悟。そこは地球ではない。文明文化は中世〜近世レベルの西洋風、人々が剣と魔法を武器に魔物と戦う異世界だ。
しかし、どこにいようとヒーローの熱い魂はゆるがない!
困った人を見れば灯悟は迷わず駆け出し、いつもどおりの調子で変身し、ポーズをとり、技の名前を叫んでは背景に謎の爆発を引き起こす!
舞台を異世界に移しても、キズナレッドの戦いはまだまだ続く……!
というわけで、日曜朝のテレビ等でおなじみの変身戦隊ヒーローが、あのスタイルのまんま異世界転生して冒険者をやったらどうなるか? という絵ヅラの威力が高いコメディになっている。
戦隊ヒーローならではのド派手な単色全身スーツに身を包んだレッドが、モンスターや魔法攻撃を強引にはねのけて大あばれする図は愉快痛快。棍棒をふりまわしながら襲ってくる敵に光線銃をぶっ放すミもフタもない光景は見ていてクセになる。
もともと異世界転生ものは地球人が異物となってよその世界をかきまわすさまに楽しみを設ける作品が多いジャンルだが、その異物感をここまで強く引き出すアプローチは、お見事の一言。
「ヒーローの熱血バカぶりと、そのノリについていけない周囲」という価値観ギャップを描くにおいて、もしもツッコミ側を現実ベースにしていたらレッド個人がただスベって見下される形になり痛々しさで笑いづらかったかもしれない。
そこを本作は、ツッコミ側がファンタジー世界の住人なのでただただ純粋に“違う”者同士で衝突する図に仕立ててあるのが上手い。笑いの対象となるのが集団のなかでハミ出した個人のおかしさではなく、大きな世界観レベルの摩擦感なのである。
「戦隊レッドの異世界転生」と一言で説明できるシンプルな着想のなかに、心おきなく笑える明るさがたっぷり詰まった漫画だ。
©中吉虎吉/スクウェア・エニックス