2018.03.03
【日替わりレビュー:土曜日】『同棲生活 わたしを好きってことでしょ』さつま揚げ
『同棲生活 わたしを好きってことでしょ』
内容は題名通り。
ひとつ屋根の下で暮らす恋人同士、それも成人女性カップルの日常風景を描いた百合マンガだ。
ひとりは、中小企業で働くOL・ゆうちゃん。
お仕事で疲れたり落ち込んだりもするけれど、おうちで恋人と過ごす時間に支えられて頑張り中。好きなものはビール、かわいいもの、おっぱい。
もうひとりは、在宅でエッセイや小説を執筆しているライター・みゆさん。
料理上手・おっぱいふわふわ・独占欲強め。ゆうちゃんが仕事をやめればヒモにする気ありありの愛の重さがチャームポイント(?)。
そんな2人が、お出かけ前に・帰宅直後に・食事時に・お風呂上がりに・お仕事中に休憩中に……いつでもどこでもスキンシップを繰り広げるのである。それはもう、おはようからおやすみまでイチャイチャと。
なにがいいって、作品全体にただよう自然体な雰囲気がこころよい。
社会人百合を掲げるだけあってカラダの関係についても言及がちょくちょく出るが、爪の長さだとかタバコの香りだとか、ディテールのきいた話題がこまごまとした日常会話に一体化しており、暮らしのなかの一部としてそういう行為もあるんだね、という落ち着いた風情で読みやすい。
なお、本作の初出は作者・さつま揚げがTwitterで更新しつつPixivにまとめている、『同棲生活』という1ページマンガの連作である。
それを改めてKADOKAWAの電子マガジン「コミックウォーカー」で掲載しているのが、『同棲生活 ~社会人百合編~』。
そのコミックウォーカー掲載版が最近単行本化され、タイトルが『同棲生活 わたしを好きってことでしょ』(さつま揚げ/KADOKAWA)となった。
フルカラー作品なので、紙の本で読むと独特の豪華感が得られる強みがある。
すでにWeb版をお読みでも、物理で単行本をおさえておく価値はあるだろう。
©さつま揚げ/KADOKAWA