コミスペ!

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2018.03.08

【まとめ】過酷さの先にある夢や幸せ。アニメに情熱を注ぐアニメーターが主役のマンガ

アニメーターは、過酷な職業である。そう言い切ってしまうのは少し乱暴かもしれないが、大多数の人はそんなイメージを持っているだろう。昨今で描かれるアニメーター像は、忙しく薄給という切り口が目立つものだ。

それでもなぜ彼らは、アニメに携わりたいと思うのか。成し遂げたい夢や、全てが報われる瞬間があるからだろう。今回はそんな、アニメに情熱を注ぐアニメーターに焦点を当てたマンガを紹介する。

がむしゃら女子の青春群像劇

西荻窪ランスルー

西荻窪ランスルー

高校卒業後の進路に、大学進学ではなくアニメ制作会社への就職を選んだ主人公の江田島。家が荒れていて早く出たいという思いも多少ありつつ、絵を描きまくって上達し、好きなことでお金を稼いで生きていくという野望を持って、アニメ業界に乗り込んでいく。

しかし現実は甘くなく、自分の不甲斐なさを自覚する日々。先輩との技術の差が気になったり、先の見えない現状に不安になったり。
彼女を指導する先輩も、時には迷いや苦悩を見せる。いつまでここにしがみつけば良いのかと。苦楽を共にした同期が一人リタイアしていく度に、彼らはこの先も自分がやっていけるか自問自答するのだろう。

それは、どんなに凄いアニメーターでも一度は通る道。先輩が、同期が、後輩が様々な理由で次々とその道を去っていく。
彼らがそれでもアニメ制作にしがみつく理由は、その苦労が報われる瞬間がどこかにあるからだろう。そこに価値を見出し、計画的にビジョンを持ってアプローチするか。アニメ制作にまっすぐのめり込める人間が、残っていくのだ。

この作品の登場人物は、誰もが迷い傷つきながら、アニメに携わっている。辛いことも苦しいことも、忘れがたい別れもある。
しかし助けられながらがむしゃらに頑張ったことが、今なお心の支えになっているから、彼らはまだアニメを作っているのだろう。

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夢に支えられて

アニメタ!

アニメタ!

『西荻窪ランスルー』が制作現場の人間関係を描いた作品ならば、『アニメタ!』アニメ制作現場そのものを軸に描いた作品だ。主人公である新米アニメーター、真田幸のアニメーターとしての成長譚がテーマになっている。

近年では珍しいほど、スポコン的な作品だ。悩んでも、苦しんでも、手を伸ばしたい夢があるから乗り越えて見せるという強い意志。
同期に比べて決して優秀とは言えない真田だが、憧れのアニメを作った人たちと一緒に仕事がしたい、あんな作品を作りたいという夢が、彼女を支えている。下手くそと罵倒されようが、休みが少なかろうが、真田は折れないのだ。

アニメに命をかける。今時、本気でそう思っている人は少ないかもしれない。仕事とプライベートを両立させたいというのは、当たり前の気持ちだ。
しかしこのマンガは違う。アニメを作ることに命をかけられる人間の物語だ。時には狂気のように、作品作りに没頭するその姿に思わず身震いしてしまう。

彼らの働き方が正しいかは、分からない。いや、労働的な観点では間違っているのだろう。しかしその狂気のような働き方で作られたアニメに、魂が込められた作品に魅了されてしまうのもまた事実だ。心を震わせる作品を生み出すために、持てる力を注ぎ込む姿が、ただただ熱い。

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主人公はアニメ作画監督

パラパラデイズ

パラパラデイズ

原画マンを描いた上記2作品とは異なり、この作品の主人公・八嶋はアニメの作画監督。監督が作りたいアニメにふさわしい絵を作る責任者であり、他の人にリテイクを指示する立場だ。

そんな彼の元に、ズカズカと人の懐に踏み込む原画マンのシカコさんが登場する。指示書への記載ではなく、目を見てのコミュニケーションを求められることに戸惑いつつも、情熱溢れるシカコさんの頑張りを好ましく思う気持ちも読み取れる。
今までは自身が描くだけでよかった八嶋が、他人に指示を出すこと、後輩の成長を考えるべき立場となったことで生まれる悩みは、アニメーターでなくても共感できる内容でどこか微笑ましい。

作画監督視点ということもあり、登場するキャラの構図も俯瞰的だ。大黒柱である監督はもちろん、絵コンテ・演出担当、原画担当、制作デスクや作監が一体となってアニメが出来上がっていく流れを追うことができる。

全体的にどこかコミカルな仕上がりになっていて、アニメ制作物語としてフラットに読むことができるのが本作の特徴だ。腱鞘炎で手を痛めても、治すために「手を休める」という当たり前のことができない、彼らの姿にもはや笑ってしまう。これもまた、現場のリアルなのだろう。それでいて、アニメにかける情熱や、製作時に気をつけているポイント等も丁寧に描いている。

作画監督のような制作現場の上のポジションは、そう多くない。常に椅子の奪い合いが行われている。生き残るために、今日も彼らは作品に情熱を注ぐのだ。

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一家の大黒柱はアニメ監督

アニウッド大通り

アニウッド大通り

宮崎駿、富野由悠季。日本アニメ史に名を刻むような名監督たちが活躍した80年代のアニメ業界
この作品は、当時のアニメ業界で気鋭の監督として活躍する父に影響を受けながら、クリエーターとしても人としても成長していく子どもたちと家族を描いている。

賑やかな雰囲気からは過酷さを感じさせないが、一家の大黒柱の父は天才肌の人間で、苦労を苦労と感じないタイプだ。しかし一度制作に没頭すれば、平気で数日家を空けることもある。理解のある母と子どもたちだからこそ、成り立つ家庭の姿だろう。

体をボロボロにしながら、時に家庭を犠牲にしながら父はアニメを作る。疲れて返って来た時、子どもたちの笑顔を見ると安らぐ姿が印象的だ。父と一緒にいる時間は少ないかもしれないが、みんなを楽しい気持ちにさせる父を、彼らが誇りに思っていることが読み取れる。見る人を魅了し、幸せにしてしまうような父の作品が、家族の楽しみでもあるのだ。

一般家庭が得るような幸せではないかもしれない。しかし彼ら一家にしかない幸せを、確かに感じられるのだ。

まとめ

普段何気なく見ているアニメでも、細部にまでアニメーターたちのこだわりが詰まっている。そんな制作側の熱を描くマンガからも、きっと熱い想いを感じるはずだ。それぞれ苦悩や葛藤を乗り越えて描かれたシーンなのかもしれない。

自分の好きなアニメがどんな気持ちで作られたかを考えてみると、今までとは違う観点でアニメを楽しむことができそうだ。

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この記事を書いた人

ふな

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