2018.03.15
【日替わりレビュー:木曜日】『しいちゃん、あのね』東裏友希
『しいちゃん、あのね』
あ、これ外で読めないやつじゃん。
確か小学生くらいの頃、家にある『クレヨンしんちゃん』を繰り返し読んでいた。とある回で、しんちゃんがコンドームを食べる話があった。慌てふためくみさえの「フーセンガムじゃないのよ」というセリフを読んで、幼心に「じゃあなんなんだ?」と思った覚えがある。そのまま両親に聞かなかった自分を、いま振り返って褒めてやりたい。
いわゆる「性の目覚め」以前の、「性の違和感」のようなものが、誰しもあるんじゃないか。テレビで男女のベッドシーンが流れて、なんだかよくわからないんだけど、変な感じがする。性欲というよりは、好奇心で気になる。思えば、私も友達とりかちゃん人形を脱がせて興味津々に触っていた時期があった(あるあるだと思っている)。
『しいちゃん、あのね』は、そんな性の目覚め以前の頃を如実に思い出させてくれる、ほのぼの系ギャグマンガ(エロ要素高め)である。
幼稚園生のしいちゃんは、もうすぐ小学校にあがるから、と言って両親から一人部屋を分け与えてもらう。喜ぶしいちゃんと、思う存分ラブラブな時間を過ごせると思っている両親。でも、そううまくはいきません。好奇心旺盛なしいちゃんは、ことあるごとに両親のセックスシーンに遭遇(というか、突撃)。こんなに寸止めシーンが出てくるギャグマンガもないんじゃないか。
かわいい表紙に、つい電車の中で開いてしまって、慌てて閉じた。これ、外では読めないやつ。ほのぼの日常系のテンションでものすごく激しいセックスシーンとかがいきなりぶちこまれるのだ。
笑えるし、なんだかめちゃくちゃエロいし、それでいてごくたまに、ちょっと良い話もあるからにくい。
ひとくせもふたくせもあるギャグマンガだが、一度ハマったら抜け出せない不思議な魅力のある作品だ。
©東裏友希/日本文芸社