2018.04.05
【日替わりレビュー:木曜日】『このかけがえのない地獄』 アッチあい
『このかけがえのない地獄』
油断してたら圧倒的実力でガツンと殴られた
このかけがえのない地獄 | うんコップ #pixiv https://t.co/fEX37x1nJT 3/10に短編集出ます!読んでください! pic.twitter.com/ae5wO3vTOo
— うんこぷ (@terokoi) 2018年3月1日
最初は、表紙の女の子のおっぱいに釣られて買った。
軽い気持ちで本を開き、最初の表題作でもある「このかけがえのない地獄」を読んで、居ずまいを整えた。え、めちゃくちゃ面白くない?、と。
登場人物は短い話の中でもしっかりキャラがたっていて(女の子が可愛い)、オチのモノローグがダブルミーニング的で、読後はなんだか独特の爽快感。いい物を見つけてしまった……!
その後続く「死んでいる君」で背筋がゾクッとしたり、「4番目のヒロイン」ではラブコメマンガの中の登場人物(自覚あり)という世界観の中でさらにひねったストーリーに驚いたり萌えたり、「黙れニート」でニートになりたくなったり、「僕は彼女の彼女」で切なくもときめいたり……気持ちが忙しい短編集である。
各話ごとに、作者の制作時の思いが書かれているのもまた良い。万人受けか?と聞かれると、必ずしもそうではない(百合描写に抵抗がある人は難しいかもしれない)が、圧倒的画力と練られたストーリーは、素晴らしい満足感を与えてくれる。
ほんと、とにかく女の子が可愛いし、表紙にビビッときたら、ぜひ手にとってほしい一冊である。
ちなみに超余談だが、読んでいる最中に登場人物の表情を見て、あれと思い調べてみたら、学生時代に大変お世話(?)になっていた同人誌の作者だったことを知った。
当時、某バスケットボールの赤髪の青年に一心不乱に恋をしていた私は、同時に彼を描くのが抜群にうまい作者も崇めていた。コミケで列に並ぼうとして、会場の係の人に半笑いで「ウンコムラ(当時のサークル名だった)にお並びですか?」と言われたのを忘れない。
それから数年後、可愛い女の子が性癖に刺さって同じ作者の作品を買うとは予想だにしていなかった。うんこぷ先生に、再びオチた瞬間でもある。
©アッチあい/KADOKAWA